高齢化は、デフレ圧力なのか、インフレ圧力なのか、これまで大きな議論の混乱があった。

高齢化は、供給者(生産年齢人口)に対する需要者の割合が大きくなるため、通常はインフレ圧力になるはずである。しかし、高齢化が進行してきた日本では、デフレ圧力が強かったため、生産年齢人口の減少それ自体が需要を減少させるという少し窮屈な論が浸透してしまっていた。

先日紹介した新説(デフレを深刻化させる「高齢化への過剰な備え」とは?)は、この窮屈さを解消するロジックになると考える。

高齢化を過剰に懸念し、それに備えようとすると、貯蓄が大幅に前倒され、短期的にはデフレ圧力になってしまう。供給者(生産年齢人口)に対する需要者の割合が大きくなるため、長期的にはインフレ圧力になることは変わらない。

このようなロジックで、高齢化は過剰な準備があれば短期的なデフレ圧力、長期的にはインフレ圧力ということが理解できる。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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