米フェイスブックは3月、Facebookのメッセンジャーの機能に、あらかじめ登録したデビッドカードを通じて小口送金を出来る機能を追加すると発表した。手数料は無料で、使用できるカードはVisaかMasterCard、日本ではまだ利用できない。

ネイバーが運営するLINEも、2014年12月に送金サービス「LINE pay」を公開している。こちらは、クレジットカードか、LINEのアカウントに利用額をチャージして送金を行う。今後、ECサイト事業者を中心に加盟店の拡大を図っていくとしている。

SNSが小口送金サービスに乗り出す理由は主に2つ考えられるが、一つはより多く利用者を集めること。もう一つは広告収入以外の新たな収入を得ることだ。

SNSの競争力は、利用者数の規模に直結している。利用者数が拡大すれば、より魅力的なユーザー間のネットワークを提供でき、それによってさらに利用者を呼び込む。利用者の多いSNSは企業の広告宣伝媒体として魅力的で、広告収入も増えるという好循環を生む。SNSは利用者数を拡大するために、音楽やテレビ番組などのコンテンツを充実させることで、他のサービスでは作り得ないユーザー間のネットワークを作り上げたりしてきた。

新たに安全で手軽な小口送金手段を提供することは、利用者数を拡大するためのキラーサービスとなりうる。これは戦国時代の楽市楽座を思い浮かべてもらえればわかりやすい。例えば、LINEでアプリやスタンプの決済が簡単になれば、それらを作ろうという利用者をより多く引き込むことができる。そしてLINE上のコンテンツはますます充実し、新しい利用者をさらに呼びこむことができる。

また、SNS上でお金が行き来するようになれば、そこはもう新しいビジネスのプラットフォームになる。そうなれば広告収入以外にも、プラットフォームの利用料という安定した収入を得ることができるだろう。


IoTでは小口送金が重要なカギを握る

これらのような小口送金サービスはSNSだけではなく、IoTが進む産業全体においても重要な意味を持つだろう。

IoTではネットとモノとがより近づき、モノの動きもより速くなる。モノが動くときにはお金も動くが、この動きが振込時間や手数料が障害となって、その流れが滞ってしまうとIoTの恩恵は減ってしまう。もし簡便な小口送金のような手段があれば、モノの動きがよりスムーズになり、IoTのメリットを十二分に享受できるだろう。

ドイツで進められている「インダストリー4.0」では、工場と販売現場や部品メーカーなどをつないで工場の生産を最適化する、工場のスマート化が目標の一つとしてあげられている。例えば、工場の部品在庫が薄くなれば、自動でその情報を部品メーカーに送り、自動で発注できるようになるというものだ。この時、部品の代金も自動的に送金できれば、工場のコスト削減にも寄与できる。


日本こそビットコインに注目しなければならない

しかし、日本はネットを介した小口送金では、アメリカに勝つことは至難だと思われる。国際送金において、最大の基軸通貨である米ドルとアメリカの民間銀行の力は非常に大きいからだ。フェイスブックの送金サービスと同様のことを日本企業が行おうとしても、時間、コストの面で大きなハンデがあると考えられる。

IoTの時代では送金サービスがスムーズに実行できるかどうかが大きなキーポイントになってくる。日本は国際的な小口送金サービスを早期に成立させないと、世界から一気に後れを取ってしまうかもしれない。

日本が小口送金で対抗しようとする時、ビットコインに注目が集まるだろう。ビットコインは基本的に銀行との関与はない。だから、アメリカの民間銀行に依存しない送金サービスを打ち立てるにはもってこいだ。ビットコインによる送金の手数料は、最小でゼロ。高い場合でも0.01BTC(2015年4月26日現在 約2.2ドル)程度と言われている。

海外への出稼ぎ労働者が多いフィリピンでは、海外から送金する手段としてビットコインを利用したサービスが始まっている。フィリピンで銀行口座を持っている人は30%以下、またクレジットカードは5%と見積もられており、ビットコインのような低価格のサービスが受けているのだ。

IoTの時代になり、小口送金サービスのニーズはますます高まっていくに違いない。そのときビットコインのような、新しいイノベーションが大きな意味を持つ。これから、無視できない存在になるだろう。(ZUU online 編集部)

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