ハンバーガーチェーンのマクドナルドの国内展開を担う日本マクドナルドホールディングス <2702> は5月1日、2015年12月期第1四半期の決算を改めて公表し、約146億円という巨額の損失を計上することを明らかにした。消費者の足がファストフードから遠のいているだけではなく、中国の取引業者の品質管理問題や異物混入といったトラブルにも見舞わるなど厳しい環境が続いており、同社の今後の取り組みは引き続き注目を集めそうだ。
きわめて厳しい1Q決算を公表
発表された資料によれば、日本マクドナルドの2015年12月期1Qの売上高は約408億7400万円と、前年同期比で34.4%の減少となった。営業利益は約99億6200万円の赤字で、経常利益も111億2400万円の赤字。約146億円の純損失を計上する事態に陥った。
今回の厳しい経営成績となった理由について同社は、食の安全・安心にかかる一連の問題による影響が大きく残り、依然として予断を許さない経営環境が続いている上に、ビジネスリカバリープランに伴う一時的な投資および費用がかかったことなどを挙げた。
経営成績については、2013年12月期の決算でも、上場以来はじめての赤字として約250億円の損失を同社は計上。2014年12月期を終えた時点で2期連続で赤字決算となってしまった格好で、3期連続での赤字計上となれば、赤字体質が定着しているとも受け止められかねない。
併せて同日、4月の販売実績も公表。同社によれば、全店の売上が前年同期比で21.8%の減少。既存店ベースでも、売上高で21.5%の減少し、来店客数も15.4%の減少を記録した。客単価でも7.2%の下落となっている。日本マクドナルドは、今年の「1月以降、客数、売上共に徐々に改善の兆しが見られている」としてはいるものの、厳しい状況が続いていることに変わりはない。
「ビジネスリカバリープラン」でテコ入れなるか?
厳しい経営環境が続いただけではなく、相次ぐ不祥事で信用の低下も著しい現状を受けて、サラ・エル・カサノバ社長が率いる日本マクドナルドは、改善策として「ビジネスリカバリープラン」を公表。決算発表の前日となった4月30日には、消費者からの意見が届く「お客様サービス室」を、下平篤雄代表取締役副社長兼COOの直轄にするなどの組織変更も対策として実施することを明らかにしていた。
「ビジネスリカバリープラン」で同社は、「より顧客にフォーカスしたアクション」などを同社は掲げる。具体的には、選択肢をより広げたセットメニューの設定や、ハッピーセット用の新メニューの導入が盛り込まれた。ほかにも、顧客の声をリアルタイムに受け付けるモバイルアプリ「KODO」のリリースも同社は施策の一つとして実施する予定だ。
加えて、すでに広く知られているが、同プランでは不振店舗の閉鎖を進めることも公開。そのために、成長を見込めそうにない131店舗を同社は2015年内に閉鎖し、さらに2000店舗の改装を今後の4年間で実行する見通しだ。
日本マクドナルドの再建策には、「現場とかい離している」「即効性が薄い」「小手先の対策では不十分なのではないか」といった批判も出されており、今後の同社の対策の実行力と、その実効性が問われそうだ。(ZUU online 編集部)
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