サントリー食品インターナショナル <2587> は、新商品「レモンジーナ」「南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」を相次いで出荷停止とした。いずれの商品とも発売後、想定を大きく上回る動きで、供給が間に合わなくなり、17日に都内で緊急会見を開くなど対応に追われた。また、ネットも巻き込んだ大きな話題となっている。商品の安定供給は企業の生命線といわれるにもかかわらず、なぜ事態を予測できなかったのか。その背景を追った。


1ヵ月間で2商品が出荷停止の異例の事態に

今回出荷停止となった2品は、今期サントリーが力を入れる大型新商品。どちらの商品も発売前から流通からの期待値も高く、広告展開などのほか、店頭での販促活動にも力を入れて、初回注文も好調だった。

しかし、発売2日後の4月1日に「レモンジーナ」全容器の出荷停止を発表。「ヨーグリーナ」は、その後13日に発売されたがその週の金曜日に同様の事態に陥った。わずか3週間の間に、2つの新商品が相次いで出荷停止となるのは、過去にも例がない。業界2位のサントリーは、独自の調査分析に優れているとされてきたが、何が起こったのだろうか。


なぜ需要予測ができなかったのか

通常メーカーは、営業の商談による見込みをベースに、天候や過去の類似商品の初動などを加味し生産計画を立てる。

今回「ヨーグリーナ」では、昨年発売した「南アルプスの天然水&朝摘みオレンジ」の1ヶ月間の販売量をベースに、その1.5倍にあたる120万箱を準備していた。初回出荷分の注文が多かったことに加え、その後の荷動きも想定以上であったことから、その後の注文に対応できないと判断した。同社によると、販売量は注文を勘案すると一ヵ月で200万箱規模にも迫るといい、需要予測が大きく外れたといえる。

実際に夏場に、急激に気温が上がった時などに商品が品薄となるなど、商品の出荷調整はどの企業も経験があること。ただ、今回のような「出荷停止」は完全に需要予測の誤り、そして生産計画がコントロールできなかったという不測の事態だ。同社は17日の会見で、「生産は販売のマックス値を想定していたが、今回はその規模をはるかに上回る規模。追加注文に応えることができないため、一時出荷を停止する」と説明した。

なぜこのような状況を測できなかったのか。理由として、同社は「新商品はだんだん定番となるのが難しなってきており、さらに消費者の視点は厳しく評価が定まらないことが多い」と説明。市場環境の変化により、従来のシステムでは、予測を立てづらい状況になってきているという。特に今回の需要予測を大きく狂わせたのがSNSの存在だ。