3月17日、任天堂とディー・エヌ・エー(以下DeNA)は記者会見で、業務、資本提携し、スマートデバイス向けゲームアプリなどを共同開発、運営することを突如発表した。スマートフォンの普及により苦戦を強いられてきた両社のもくろみと勝算は。文=本誌/長谷川 愛


スマートデバイスで「驚き」を提供できるか

任天堂とDeNAは今後、任天堂の知的財産(キャラクターなど)を活用し、スマートデバイス向けゲームアプリを共同開発、運営する。加えて、現行のニンテンドー3DSやWii U、任天堂が現在開発中の新しいゲーム専用機NX、スマートデバイスやPCなど、複数のデバイスを統合するメンバーズサービスを開発し、今までにないプラットフォームを作るという。こうした業務提携を行うために資本提携まで結んだということだ。

「お客さまに、いまだかつてない驚きや喜びを感じていただけるかどうか」

任天堂の岩田聡社長は6年前の本誌インタビューで「必需品ではないゲーム機が選ばれる条件は」という質問に対して、このように述べていた。当時はDSiが登場した頃であり、携帯電話のみならずテレビや娯楽施設などさまざまなエンターテインメントを競合として、その中で任天堂のゲームを選んでもらわなければならなかった。そのためにはユーザーに「驚き」「喜び」を感じてもらうことが必要だと岩田氏は語っていた。

その後、ゲーム産業を取り巻く環境はさらにめまぐるしく変化した。「ファミ通ゲーム白書2014」によれば、2013年の国内ゲーム市場は過去最高の1兆1448億円。国内家庭用ゲーム市場規模は、ハード・ソフト(オンライン含む)合計で4465億円と、12年(4834億円)と比べ減少傾向にある。一方のオンラインプラットフォーム(ゲームアプリ・フィーチャーフォン・PC)のゲーム市場は、前年比141%の6983億円と大幅に拡大している。