ナショナルブランドとプライベートブランドに揺れるメーカー

セブンイレブンの棚戦略に直面している業界は、何も飲料業界だけではない。現在加熱しているのはトイレタリー業界である。花王は柔軟剤ブランド「フレアフレグランス」、ライオンは液体洗剤ブランド「トップ」、資生堂はデオドラントブランド「エージープラス」を、それぞれ販売している。いずれもPB製品ではなく、あくまでセブンイレブン専売品であり、PB取り組みについては否定しているが、今後の動向が気になるところである。

NBメーカーにとって、コンビニは重要なチャネルである一方、最も競争が厳しい。大規模なGMS・SM業態と異なり、店舗の棚の広さは有限であり、常にシェア上位の商品や新商品しか陳列されない。1つのカテゴリーに数品しか陳列されない中で、しかもそのスペースの一部をPB商品が占める。必然的に、棚落ちするNB商品が出てくる。自社の商品が陳列されないなら、あえてPBや専売品に手を出してもコンビニに商品を残したい、というNBメーカーのジレンマが生じる。自社でやらなければ、競合に取って代わられるかもしれない。自社のブランドの育成という命題との間で、さまざまな駆け引きが生じているのだ。

一方で、PBに積極的な取り組み姿勢を見せているNBメーカーも存在する。スナック菓子のカルビーである。同社の松本晃会長兼CEOは、「PBも押さえて市場全体で圧倒的なシェアを取り、競争を終わらせる」としている。そうした背景もあり、セブンプレミアムのポテトチップスも、従来の湖池屋「うすしお味」からカルビーに変更された。カルビーとしてはこうしてPB需要も積極的に取り込むことで、最終的に自社が関与する商品のシェアを高める方針だろう。PBの粗利は低いが、その分広告宣伝費を圧縮することができると考えれば、収益性のともなわない戦略とはいえない。


セブンイレブンの動向と棚戦略

セブン&アイHDは、2014年史上初の10兆円を突破した。その中核事業であるセブンイレブンジャパンは、この飽和市場の中で、過去最高益を記録している。セブンイレブンはビッグデータを武器に、今後も戦略的な棚割戦略とPB開発を進めていくだろう。

NBメーカーにとっては、これまでのようPBには取り組まず、あくまで強い自社ブランドの育成によってコンビニにも陳列を進める、という既定路線が崩れようとしている。市場の変化とともに、柔軟な育成方法を検討する時期が訪れているのだ。 (ZUU online 編集部)

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