「成田空港の新戦略」LCC専用ターミナルの開業で、新たな顧客取り込みを

(写真=Thinkstock/Getty Images)

4月8日、成田空港にLCC(格安航空会社)専用の第3旅客ターミナルが開業した。LCCによる気軽な空の旅の提案で新たな顧客を取り込み、首都圏からのアクセスの良さで利便性をアピールしてきた羽田を巻き返すことができるか。日本の空の玄関口の新たな戦略を追った。


LCC・利用客の双方にメリットをアピール

第3ターミナルでは、航空会社の空港使用料を既存ターミナルの半額程度に設定し、LCCの積極的な誘致を進めてきた。これにより、開業当初からLCC5社が就航、成田と国内外の19都市を結んでいる。こうしたLCCの集積は、発着枠が少ない羽田との差別化を図る上で、今後成田の大きな武器となるだろう。

また、利用客に対しては、1978年の開港以来続く検問に代わり、新たに顔認証システムを導入。身分証明証のチェックをなくすことで利用客の利便性を高めるなど、航空会社、利用者双方にメリットをアピールすることで、第3ターミナルのさらなる利用拡大を狙う。


徹底したコストダウンを実施

特筆すべきは、第3ターミナルの徹底したコストダウン策にある。LCCの利用者が支払うサービス施設使用料を抑えるため、ターミナルの天井はすべてむき出しに、窓を減らして空調効率をアップさせ、案内表示には張り替え可能な布の横断幕を活用するなど、低コストを売りにしたLCC専用ターミナルならではの工夫が随所に凝らされている。

また、第3ターミナルの大きな特徴ともいえる、本館とサテライトを結ぶ高さ15メートルの連絡ブリッジには、一切の空調も用意されていない。ターミナル直結のボーディング・ブリッジ(搭乗橋)も廃止され、乗客は屋根つき通路を徒歩で移動し直接飛行機へ向かう。こうした徹底したコストダウンが図られた結果、第3ターミナルの建設費は、既存ターミナルの約4割減の150億円に抑えられた。

さらにユニークなのは、こうしたコストダウン策が、第3ターミナルを“LCCに特化したターミナル”として認知されるのに一役買っていることだ。成田空港側の徹底したコストダウンの姿勢は、第3ターミナルに就航するLCC各社にも浸透し、スプリングジャパンでは、社名ロゴなどのデザインを社内公募により制作することでコストを削減、バニラ・エアは、搭乗ゲート付近にオリジナルグッズを販売する自動販売機を設置し人件費を削減するなど、各社とも、格安運賃のみならず、さまざまなコスト削減策でLCCの認知度アップに努めている。