世界3位の地熱大国、日本 身近な温泉発電を使える仕組みを作れ!

(この記事は2014年2月24日に掲載されたものです。提供: Biglife21

日本は世界有数の火山国である。先の御岳山の噴火で、火山の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。しかし豊富な火山帯は、我々に大きなその恩恵をもたらしていることも確かだ。その一つが日本全国に点在する温泉場である。

その温泉が新たな電源として注目されている。温泉のお湯を使った「温泉発電」だ。原理は地熱発電と同じだが、新たな掘削を必要としないため、初期投資も少なくて済みそうだ。果たして温泉発電は広がっているのか。どこまで可能性があるのか。


国が国立・国定公園内の小規模温泉発電を推進

日本はアメリカ、インドネシアに次いで3番めの地熱大国である。その推定資源量(賦存量)は約2350万kW、およそ原発20基分だ。 この地熱を利用した発電システムが地熱発電である。現在国内で17カ所が稼働中だ。

実は地熱発電はFIT(固定価格買取制度)の対象ともなっている。しかも買取価格はkWhあたり40円プラス税(1.5万kw未満)と、太陽光発電と比べても遜色はない。だが新たな計画が持ち上がったという話もない。

理由の1つは原発などを重視し、国が積極策を取らなかったこともあるが、場所の問題が大きい。熱資源の8割が国立・国定公園内にあり、原則的に自然破壊に繋がる可能性のある開発が禁止されていたためだ。だが3・11後、国はこの方針を緩和。国立公園・環境省は2012年に、国立・国定公園内でも自然環境への影響の少ない温泉発電は、積極的に推進するとしたのである。

地熱発電は、岩盤の地熱滞留層まで掘削して、そこから出てくる200℃~350℃、1・5〜15 MPaという高温高圧の蒸気・熱水を利用するものだが、温泉発電は、基本温泉地の余ったお湯を利用するため、初期投資が少なくて済む。

また温泉発電は、一旦稼働すると天候に左右されないため年間を通じて一定量の発電が期待できる。平均稼働率は約8割。太陽光発電の約5〜7倍の高効率である。

さらに地熱発電ほどの高温を必要とせずとも発電できる、アンモニアなど沸点の低い媒体を使ったバイナリー発電が開発されたことで、100℃未満でも発電ができ、温泉発電が現実的となったのだ。

現在、経産省や環境省などが、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)やJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)や大学、自治体、民間企業などと組みながら実証実験などを各温泉地で進めている。

ただその発電可能性は全国合わせて約70万kW。原発1基分にも満たない。太陽光発電の1600万kWに比べても小さい。