温泉発電推進のメニューは揃うが…

ではどのくらいのコストパフォーマンスの数値が出れば、事業レベルに持っていけるのか。生田目さんは「10 kWを1000万円が1つの目標」という。

1000万円くらいなら「地元の信金さんなども融資しやすいのでは」。 環境省の担当者は「温泉発電は設備の初期投資が大きな負担となり、FIT制度や環境省の設備補助制度を使えば、かなり負担減になる」と話す。

実は経産省のFITや環境省の助成メニューのほかに、各自治体でも実証運転や導入についての助成補助メニューはかなり揃っている。地銀や信金でも独自の融資メニューを持っているところもある。

旅館など1つの事業体ではリスクヘッジできない場合は、複数の事業体が連携して特別目的会社を受け皿にして、リース会社が機器を貸し出すケースも出ている。

仕組みも魅力も十分なのに普及のドライブ感が弱いのはなぜか。1つは地熱発電に対する警戒感が強いからと察する。経産省も環境省も地熱発電の一形態と位置づけているが、地熱発電だと新規掘削作業のイメージがつきまとい、「余剰のお湯の利用」感がない。

もう一つは、グリーンエネルギー、オフグリッドの付加価値イメージが足りないことだ。たとえば旅館に「温泉発電の宿」、「災害時に強いオフグリッドの宿」の認定マークなどがあれば、集客力に繋がるはずだ。外国人観光客の受けもいいだろう。

温泉熱源の多段階利用の具体的な絵姿の提示も弱い。すでに一部温泉熱を利用した野菜のビニールハウス栽培や魚の養殖が行われているが、旅館観光業だけに限定せず、地域産業全体での総合的な利用スキームが、絵姿となりそのメリットとして具体的に「見える化」しないと、地方での普及はなかなか難しい。

もちろんそこに参加するのは、必ずしも地域住民でなくてもいいだろう。ドライブの知恵はまだまだある 。( 提供: Biglife21

【関連記事】
グローバル化は「タタ」に学べ
FCV技術に関する特許開放、トヨタの期待とは?
就活支援ジャーナル ‐ 優秀な人材確保のため中小企業が実践すべきこと
株式会社MUGENSHA – インテリアデザインから〝無限〟に広がるビジネスを。
会社内で完成した発明(職務発明)は、誰のものか?