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(写真=Thinkstock/Getty Images)

ハイアールアジア(HA)が面白い。白物家電の国内出荷額は、2015年2月まで5ヶ月連続して前年同月比を下回っており、厳しい状態が続いている。これに対してHAは、他の白物家電メーカーとは一線を画す商品やサービスを次々と打ち出し、好調な売上げを続けている


白物家電の常識外の商品とサービス

たとえばハンディ洗濯機「COTON」である。この製品は食べこぼしのシミなど汚れた部分に洗剤を塗布し、その箇所にCOTONを押し当てる。すると先端から水を噴射して毎分700回の高速で上下し、わずか30秒〜2分ほどで汚れを落としてしまう。まさに世界初の洗濯機で、ハイアールのウェブサイトでの受注数は、予定の数倍に達しているという。

また東京でテスト販売を開始した「オフアイス(off ice)」というオフィス向け冷凍食品販売サービスへの、関心も高まっている。このサービスはHAが冷凍庫を無料でオフィスに提供し、中の冷凍食品などを販売するというサービス。冷凍食品メーカーからテスト販売も請負い、冷凍庫の使用料を得るビジネスも視野に入っているという。このサービスは、いままでの冷凍庫を販売して終わる売り切り型ビジネスから、継続的な利益を得られるサブスクリプション型ビジネスへの転換といえる。


デザイン音痴の経営でつまらなくなった日本の家電

HA は、なぜこのような新しい商品やサービスを次々と繰り出すことができるのだろうか? それは代表取締役である伊藤嘉明氏のデザインの力にある。ここでいうデザインとは、モノの色・柄・形だけのことではない。東京大学生産技術研究所教授 山中俊治氏の定義を引用しよう。

「デザインは、人と人工物あるいは人工環境とのかかわりすべてを計画し、幸福な体験を実現する技術である」(一橋ビジネスレビュー2015 62巻4号より)

日本の白物家電は、機能は素晴らしいがどれも面白みに欠ける。掃除機をみても英ダイソンや、米アイロボット社の掃除機は高価格にもかかわらず人気が高いのに比べ、日本メーカーのそれは性能は負けていないのにどれも食指が伸びない。

理由は、判断を下す経営者にデザイン音痴が多いためだ。日本メーカーは、工学的な機能と審美的なスタイリングとの間で、分業がはっきりしている。そして工学的な機能は数値化しやすい。だからある試作品について「この形のほうが10%省エネできます」と「こっちのほうが美しいです」と説明されれば、デザイン音痴の経営者は前者を採用するだろう。

しかし、局所ごとにいい数字を集めた製品は、一貫した価値観を持つことができない。どのメーカーもいい数字を集めた製品を出してくるから、どれも同じようにパッとしない商品になってしまう。