東洋ゴム, 偽装, 安全性

(写真=Thinkstock/Getty Images)

国土交通省は3月13日、東洋ゴム工業<5105>の子会社「東洋ゴム化工品」が製造・販売した免震ゴムについて、大臣認定の性能評価基準に適合しない製品の出荷や、データの偽装があったことを発表した。それにより、防災の要となる自治体や医療施設など施設55棟が、国土交通省の認定する性能評価基準を満たしていないことが判明した。また、25日には、「55棟」以外にも不正がなされたと疑われる製品が195棟に納入されたと発表された。


社員ではなく企業ガバナンスの問題

この免震偽装事件は、10年以上も担当者が1人で当該業務を担当しており、内容が専門的だったため、上司も改ざんに気づかなかったという。そもそも内容がわからないような上司を置き続けたことは問題である。今回の免震偽装事件は、一社員の不正ではなく、企業のガバナンスの問題である。
東洋ゴムも、不適合の事実がわかっていながら、驚くことに1年以上も事実を公表していない。この1年間大規模な地震がなかったからよかったものの、もし起こっていたら甚大な被害が発生していたかもしれない。
不正が発生したら、最低限、事実をすみやかに公表して謝罪し、対策を講じることが求められる。だが、同社は2007年にも同じような問題を起こしており、過去の反省を活かすことはできなかった。学校などで使う断熱パネルの耐火性能を偽装し、大臣認定を不正取得したのである。まさに、企業の体質はそう簡単には変わらない証左といえる。


問われる行政の責任

また、行政の責任もまぬがれない。免震ゴムのような建築部材は、国交省の大臣認定を受ける必要がある。メーカーが認定を受けるためには、指定性能評価機関から性能評価書を発行してもらい、それを国交省に提出する。その過程で、データの改ざんが発生した。この構図は、2005年にあった構造計算偽造問題(建築士による耐震の安全性を確認するための構造計算書の偽造)と同じである。
提出されたデータをもとにチェックするのだから、もし元のデータが改ざんされてしまえば見抜くのは難しい。しかし、定期的なサンプル調査などは行うべきであり、同じような偽装を2回も見抜けなかったことは、行政にとっても重大な問題だ。ましてや東洋ゴムは2007年に耐火ボードで不正を行っているのだから、より注意深く見る必要があったといえる。問題が発生してから立入調査に入るのではなく、定期的に立入調査するなど、予防的な視点が欠けている。