世界的なハンバーガーチェーンのマクドナルドが現在苦境に陥っている。昨年7月に発生した中国食品工場における期限切れ鶏肉使用問題や最近の異物混入問題、さらには、社長が雲隠れした上で「対応に問題はなかった」とする誠意のない謝罪会見で、一気に客離れが加速したからだ。このような状況の中で、今後マクドナルドは復活することができるのだろうか。

売上高低下は昔から


日本マクドナルドの持株会社である日本マクドナルドホールディングス <2702>の平成21年から平成26年(12月期決算 )にかけての連結売上高を見てみよう。


3,623億円(前年比1.8%減)


3,237億円(前年比10.6%減)


3,023億円(前年比6.6%減)


2,947億円(前年比2.5%減)


2,604億円(前年比11.6%減)


2,223億円(前年比14.6%減)


となっており、6年間連続して減少していることが見て取れる 。この6年間で実に1,400億円も減収しているのである。直近の平成25年から平成26年にかけての1年間で、381億円も売上高が減少したことのみクローズアップされてはいるが、実は、6年もの長きに渡って売上が減少しているのである。

本家本元となるアメリカのマクドナルドコーポレーションの2014年12月期連結売上高は、前年比2.4%減の274億ドル、純利益は14.8%減の47億ドルだ。期限切れ鶏肉問題により日本と中国の売上が減少したことの影響も大きいが、米国や欧州における売上高も減少しているのだ 。

売り上げ減少の理由

世界的に売上が減少している理由としては、やはり近年の健康志向が影響しているだろう。ハンバーガーは、ジャンクフードの代名詞となっており、高カロリーで栄養価が低い。中高年はもちろん、若者の間でもヘルシー志向が進み、ハンバーガー自体が敬遠される傾向にある。世界中から安価な原料を調達し、安い労働力で加工するというマクドナルドの採用する「セントラルキッチン方式」では、調理過程がわかりにくい。食の安全が強く求められる中、ひとたび信用不安に陥ると、全てが悪い品質と評価されてしまうリスクもあるのだ。今回は、まさにそれが顕在化してしまったわけである。