EV vs. 水素自動車

一方で、日本政府は、次世代エネルギーとして水素自動車(以下、FCV)の普及推進に舵を切り、水素自動車の普及に向けた様々な政策を推進している。2015年1月には、首相官邸で安倍首相がトヨタ自動車のFCV「MIRAI」に試乗した後、「いよいよ水素時代の幕開けだ」とし「さらなる規制改革と技術開発を積極的に推進していくだろう」と語った。一企業の製品のアピールに首相が直接関与することは異例のことであり、日本政府が企業と一体となって水素自動車の普及を目指していることが見て取れる。

しかし、その計画台数を見ると、FCVの年間販売台数は2020年に約5万台、2025年には約20万台、2030年に約40万台になるとされており、FCV普及のスピード感と台数規模で中国製EVとは逆の意味で桁外れのものとなっている。

このままでは、日本のFCVは、技術の標準化や大量生産による量産効果がいつまでも働かず、携帯電話のように国内では普及はしても海外では全く競争力ないガラパゴス製品になってしまう恐れがある。標準化による量産効果を発揮できなければ世界最大の中国市場に参入することはできないことになり、日本のメーカーは中国市場で軒並み小米やフォックスコンなどの中国系企業に打ち負かされることになってしまう。そして、巨大な中国市場で力をつけた中国製EVが、一瞬の隙を突いて日本市場に雪崩を打って流入してくる、という事態にもなりかねない。


桁違いの競争の発想ができるか?

EVやスマホに限らず、中国系企業は、桁違いの事業展開を構想し、そしてそれを実際に実現する。こうした2桁更には3桁の文字通り桁違いなスケールの発想と事業構想は、日本企業はおろか、アメリカ企業の発想をも凌いでいる。

さらに、中国系企業は、自社の技術開発や独自の製品ポジショニングなどにこだわりを持つことをせず、巨大な需要に対してストレートに大量の製品を市場に一気に投入してくるのも特徴である。グローバル市場での競争は、こうしたスケール感とスピード感の勝負に既になっている。

(ZUU online 編集部)

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