女性活躍推進、職場環境、経営者、転勤、働く女性

(写真=Thinkstock)

安倍内閣が成長戦略の柱として「女性活躍推進」を掲げていることもあり、女性活用を推進している企業が増加している。人材採用会社エン・ジャパンが2014年10月発表したアンケート結果によると、女性活用に取り組んでいる企業数は前回調査から8ポイント増加して45%となった。女性活用を推進する企業はどんな制度を整備しているのか、女性の本音は何かを、この調査から見ていく。


企業が取り組む重点項目のトップ3は?

企業側が重点的に取り組んでいる項目トップ3は、「出産・育児をサポートする福利厚生の充実(70%)」「時短勤務・テレワークなど勤務形態の多様化(60%)」「管理職への積極登用(42%)」となった。とくに出産、育児面のサポートである福利厚生と勤務形態の多様化は、半数以上の企業が取り組んでいる。

一方、管理職への積極登用については、遅れているのが現状である。たとえば、経済産業省と東京証券取引所が女性活用推進に優れた企業と認定している「なでしこ銘柄」26社のうち、女性管理職比率の目標値、管理職比率、部長比率を公開しているのは、カルビー <2229> 、ローソン <2651> 、旭硝子 <5201> 、武田薬品工業 <4502> 、住友金属鉱山 <5713> 、日立製作所 <6501> 、日産自動車 <7201> 、ニコン <7731>、三菱UFJFG <8306> の計9社に限られ、三菱UFJFG、カルビー以外は女性管理職比率は1ケタ台なのが現状である。


働く女性が「転勤」を許容できない理由

一方、働く女性に対し、「長く仕事を続けるために許容できないことは何ですか?」という質問に対する回答で断トツ1位になったのは「転勤」(68%)であり、続いて職種転換(23%)、異動(17%)、残業(13%)という結果になった。転勤がトップになった理由は、転勤が自分だけではなく、家族に大きな影響を与えるからと推定される。この調査からは、企業側の取り組みと働く側の本音が異なることがうかがえる。


企業側の取り組みと働く側の本音の両立

では、企業側が女性の力を活用したいという意向と、働く側の転勤したくないという意向を両立させることが果たして可能なのか、先進的な企業の事例を見ていく。

たとえば、女性管理職比率が25.6%の資生堂<4911>では、女性リーダーの育成をめざすキャリアフォーラムを開催する一方、育児時間、介護時間を取得中の社員は転居をともなう異動の対象外としている。また、小学校3年生以下の子を持つ社員の配偶者が国内へ転勤する場合、本人も転勤地への異動を希望できる。さらに、配偶者が海外転勤になった場合、休業を認める制度も導入済である。

女性管理職比率が33.3%と高い明治安田生命でも、女性職員の管理職を計画的に導入するプログラムを導入する一方、本人の申請により子供が小学校を入学するまでは転居を伴う異動を抑制する制度や、介護のために勤務地を希望できる制度がある。

こうした先進的な企業の事例からは、キャリア形成の取り組みと、育児や配偶者の転勤に対応できる柔軟な制度の両輪を設計することが、女性活躍推進、女性管理職比率の向上の鍵といえるだろう。

(ZUU online 編集部)

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