インターネットの向こう側にあるサーバーなどコンピュータリソースを用いてサービスを提供する「クラウドコンピューティング」。インターネットを「雲」に見立てて、その向こう側からサービスを提供する様を指してクラウドサービスと呼ばれることもある。利用者はサーバーのことをまったく意識する必要なく、活用できるのが特徴だ。この技術を駆使したビジネスが今、世界的に注目を集めている。


おさえておきたい「クラウド」のポイント

ネットワーク上にサーバーを置いたサービスとしてかつては、ASPやホスティングなどの「共用サービス」が提供されてきた。最近、注目を集めるようになったクラウド技術は、こうした従来型の共用サービスとはどう違っているのだろうか。

まず確認しなければならないのは、利用者からみると、「複数のコンピュータを1つのコンピュータ資源とみなす」ことができるため、「必要なときに必要なだけシステムを利用できる、きわめて自由度が高い」システムとなっている。つまり、データを保存するストレージが足りなければ、保存領域を、その都度調達するなど柔軟な運用を実現することができるのだ。

こうした、クラウド技術のキーワードは「仮想化」だ。サーバーやストレージなどのハードウェア、データセンター、ミドルウェア、OS、業務アプリケーションソフトなどに仮想化技術を加え、複数のサーバーなどをまとめて「仮想サーバー」を構成。利用者やアプリケー ションに合わせた適切なコンピューターリソースを提供することができる。無論、この仮想サーバーに割り当てる処理能力自体も、柔軟に変更できる。


クラウドコンピューティングの種類

ただし、一言で「クラウド」といっても、指し示す内容は幅広く、まだまだ使われ方もあいまいだ。このわかりにくい状況の中で、「クラウド」技術をきちんと理解するには、サービス形態ごとの「分類」が役に立つ。そうすると、クラウドには次の3種類のサービスがあると理解できる。

1.ハードウェアまでが提供範囲⇒IaaS (Infrastructure as a Service)
2.OSないしはミドルウェアまでが提供範囲⇒PaaS (Platform as a Service)
3. 業務アプリケーションまでが提供範囲⇒SaaS (Software as a Service)

一方、利用形態をもとに分類することもでき、こちらで分類すると、下記の4種類に分けられるだろう。

1. 単独の利用者で利用⇒プライベートクラウド
2. 複数の利用者で共同利用⇒パブリッククラウド
3. 上記両者の利点を活かす形で両方とも利用⇒ハイブリッドクラウド
4. 特定のメンバーで共同利用⇒コミュニティクラウド

という具合で、いずれにせよクラウドサービスをイメージする上で役に立つ。次の第二回では、クラウドコンピューティングのメリットとデメリットを把握する大切さと、海外、国内での動きを概観する。(ZUU online 編集部)

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