異物混入問題、食品偽造、リスクマネジメント、ペヤング

12月にから、食品への異物混入ニュースが相次いでいる。11日には、「ペヤングソースやきそば」にゴキブリと見られる異物が混入したことで、製造・販売元の「まるか食品」が商品の自主回収を発表。これにとどまらず、10日には日清食品冷凍が、冷凍パスタ商品へのゴキブリ混入で商品の自主回収を発表している。さらに、不二家フードサービスやマルハニチロでも、異物混入の疑惑があがっている。

このような異物混入ニュースは氷山の一角に過ぎないのか、リスクマネジメントの観点からどのような対応を図ればよいのか? 過去の事例を踏まえながら検証していく。


食品の異物混入件数は高止まり

食品の異物混入件数は高止まり傾向にある。東京都福祉保健局の調査によると、食品の異物混入等の苦情件数は平成24年度で計4867件。そのうち、異物混入に関する苦情件数は681件で、全体の14%を占める。また、イカリ消毒株式会社の報告でも、異物混入の検査の依頼数が増加傾向にある。統計を見る限り、食品の異物混入は高止まりにあり、今回報道されているのは氷山の一角に過ぎないことがわかる。


発生後のコミュニケーションが重要

このように発生件数が高止まりしている「食品への異物混入」だが、製造工程の管理強化やHACCPの取得により、異物混入の発生を防ぐことはできるだろう。

しかし発生した後にどのように消費者とコミュニケーションを図っていくか、そのためのリスクマネジメントこそより重要となる。この点で学ぶ事例は、1982年アメリカで発生した「タイレノール事件」である。

1982年にアメリカのシカゴでタイレノールを服用した少女が、混入されていたシアン化合物により死亡。このほか5瓶のタイレノールにより計7名が死亡した。この際、製造・販売元の米ジョンソン・エンド・ジョンソン社は「消費者の命を守る」という信条の元、タイレノール全製品のリコールにとどまらず、延べ12万5千回のCM放映、専用フリーダイアルの設置、新聞広告などで回収と注意を呼びかけ、3100万本の瓶を約1億ドルのコストをかけて回収している。

このような対応の結果、6ヶ月後に発売した新製品では以前の売上を回復し、企業の評判はむしろ上がった。


消費者優先の姿勢こそ信頼回復への道

ジョンソン・エンド・ジョンソン社が徹底した消費者優先の対応で信頼を回復した一方、雪印乳業や「焼肉酒家えびす」を展開していたスタンド・サービスは、食中毒事件とその際の対応をきっかけに風評被害が広がり、その後倒産している。

今回異物混入を発生した企業は、ウェブサイトでの製品回収は発表しているものの、それ以外の対処についてメディアではこれといった報道はされていない。消費者優先の姿勢を貫き、信頼回復のための具体的な行動を打ち出せるのか、今後の対応が注目である。

(ZUU online 編集部)

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