【1分でわかる!記事まとめ】
・株主優待を限りなく低リスクで得ることができるのがクロス取引
・クロス取引には一般信用取引を利用する
・一般信用取引ができるネット証券は3社だけ
・クロス取引の手数料が一番安い証券会社は...

株主優待を手に入れよう!

「アベノミクス相場」ともいわれる好調な相場が続いている。こうした状況を見て、株式投資を始めようかな…と考えるものの、なかなかよい方法がない方は、まずは身近な株主優待銘柄にチャレンジしてみてはどうだろうか。優待商品の種類は多様であり自社製品を送ってくれる会社もあれば、ギフトカードを優待に設定し、株主が使いやすいよう配慮してくれている会社もあるからだ。

優待銘柄の権利落ちは危ない

この株主優待だが、注意すべき点もある。

株主優待 を得られるのは、※権利確定日までに株主優待を扱っている株を所持している必要がある。また、もし 権利確定日以降に株式を売却しても、株主優待をもらう権利がはく奪されることはない。そのため 権利確定日が近づくと、優待狙いで株式を購入し、優待の権利を獲得したら株をすぐに売却する投資家が多い。

この権利確定日のあとの翌営業日に当たる日を権利落ち日というが、株式を売却する投資家が多いために、優待銘柄の株価が大きく下落することがある。せっかく株主優待をもらっても株価が下落してしまえば、株を長期保有する場合は別として、優待商品を半ば強制的に高額で購入させられたのと同じになってしまうのだ。

※権利確定日・・・株主優待や配当金などを得られる権利が確定する日

クロス取引で権利落ちリスクへ対応

権利落ち日に株価が大きく下落し、損失が発生するリスクを避けることができれば、安心して優待を狙うことができる。そこで、株価下落のリスクに対応する一つの手段としてクロス取引がある。

クロス取引とは、株式の現物買い注文と信用売り注文を同時に出す取引である。売りと買いが交錯するのでクロス取引と呼ばれる。


>> 下記の松井証券のクロス取引の説明を見る

>> 下記のカブドットコム証券のクロス取引を見る

>> 下記のSBI証券のクロス取引を見る

現物買い注文は、通常の買い注文である。証券会社を通じて代金を支払い、株式を購入する。信用売り注文とは、株式を証券会社から借りて売却する売り注文である。※信用取引では、保有していない株式であっても、株式を借りることで売却が可能である。信用取引で売り注文を出す場合、株価が下落した際に利益が発生する。したがって、株価下落時に現物買いで生じた損失を埋め合わせることができるのである。

このように、現物買い取引と信用売り取引を組み合わせれば、権利落ち日に株価が下落した場合でも、損失を被らずに済むので、安心して株主優待を受け取ることができる。

※信用取引とは自分の資金や株式などを担保にして、証券会社からお金を借りて投資すること。自分の持っている資金以上の取引ができる。

制度取引と一般信用取引:それぞれの特徴

クロス取引に用いられる信用取引には2種類ある。制度取引と一般信用取引である。


制度信用取引

制度信用取引とは証券取引所が一定の基準で選択した銘柄のみを扱う信用取引のことである。

制度取引ができる株式は、証券取引所の選定基準を満たした銘柄に限られている。したがって、証券会社から株式を借りる際に、制度取引であれば銘柄の信頼度が高い分、貸出金利が低くて済む。したがって、クロス取引をする際には、制度取引ができる銘柄かどうかを確認しよう。制度取引ができない銘柄は、売買高が少ない銘柄や株価の変動が激しい銘柄の場合がある。

一般信用取引

一方、制度取引よりも銘柄選定基準が緩いのが一般信用取引である。一般信用取引では、証券取引所が銘柄選定を行うのではなく、各証券会社が独自に貸出金利を設定する。したがって、証券会社ごとに貸出金利は異なるので、複数の証券会社の貸出金利を比較してみよう。ただ、証券会社によって差はあるものの、信頼度が制度取引対象銘柄よりも低いことから、制度取引よりは若干金利が高めに設定されるのが一般的である。

※貸出金利・・・銀行や信用金庫などの金融機関が、企業や個人に資金を貸し出すときの利息。

クロス取引の注意点


現物買いもしくは信用買い、 現引きと 一般信用売りの組み合わせで、低リスクで株主優待を手に入れる手法が クロス取引だが、2つ注意点がある。

配当金は受け取れない

まずは、実質的に配当金を受け取れないことである。仕組みを説明すると、現物買いを行った株式に対しては配当金が付与される。しかし、信用売りを行った株式に対しては、配当金に相当する金額を支払わなければならない。したがって、配当金の受取と、同額の支払いが発生するので、トータルで見れば配当金による利益は発生しない。信用取引の貸出金利を配当金で賄うといったワザは使えないのだ。

逆日歩の発生可能性

もう1つの注意点としては、制度取引の場合に限るが、信用取引の売買状況によっては逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生する可能性がある点である。信用売り注文が証券会社に殺到すると、証券会社では貸し出す株式が不足してしまい、緊急に株式を調達する必要に迫られる場合がある。緊急調達した際に発生したコストは、逆日歩という形で信用売り注文を出した投資家が負担することになるのだ。

証券会社は通常であれば余裕を持って株式を準備しておくのだが、株主優待の権利獲得のために一時期に信用売り注文が集中すると、人気の高い優待銘柄では逆日歩が発生する確率が高くなってしまうので、注意が必要だ。

クロス取引のできる証券会社比較


>> 下記の松井証券のクロス取引の説明を見る

>> 下記のカブドットコム証券のクロス取引を見る

>> 下記のSBI証券のクロス取引を見る

株主優待 を獲得するためのクロス取引は、いったいどの証券会社で行うとよいのだろうか。証券会社を選ぶ際のポイントとしては、①信用取引の際の手数料や金利の水準②一般信用取引に対応しているかどうかが挙げられる。ここでは、逆日歩が発生しない一般信用取引に対応している証券会社間で、手数料や金利水準、※貸株料を含めたコストを比較する。

※貸株料・・・証券会社から借りた株の金利として請求されるコストのこと。クロス取引のように信用売りでは証券会社から株を借り、その株を売っているという状態であるので貸株料が発生するのである。

まず、5万円以下の少額の取引であれば、1日50万円までの株式売買手数料を無料としている松井証券がお得である。また、5万円~25万円でも松井証券がベストとなる。一方、25万円を超えると、SBI証券が有利だ。SBI証券では50万円を超える信用取引の手数料を一律としているからだ。

松井証券の「無期限信用取引」

少額の売買を行う際に手数料が安い松井証券では、無期限信用取引を行うことができる。これは信用取引の中でも、逆日歩が発生しない一般信用取引に分類される。

したがって、1日当たり50万円までの売買手数料が無料の松井証券であれば、優待獲得に必要な金額が25万円以下の株式を単元株数分だけクロス取引した場合、発生する費用は貸株料と信用取引による配当金相当額の支払いだけ。

少額で株主優待の権利を獲得できる銘柄は多く存在するので、自分の好みの優待を提供している銘柄に目をつけておき、優待権利確定日が近づいたときに、松井証券の無期限信用取引などを活用して低コスト・低リスクで優待獲得を狙ってみるとよいだろう。5万円で購入できる具体的な銘柄と株主優待として、資格の学校「TAC」の受講割引券、家電「コジマ」の買物券などがある。

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カブドットコム証券のクロス取引

カブドットコム証券では、松井証券より手数料が高い金額帯があるものの、一般信用取引の取扱銘柄数が約2,300銘柄と、(次点が松井証券の700銘柄)他の証券会社と比べダントツで多い点が魅力である。

一般信用取引は短期と長期の2種類

カブドットコム証券の一般信用取引には、短期のものと長期のものがある。なかには 長期信用取引にはあらず、短期の信用取引であれば可能な銘柄も存在する。短期と長期の特徴を並べてみよう。

【短期】
・ 売建可能の 取扱銘柄数:約700銘柄
・保有可能期間:最長13日間

【長期】
・売建可能の取扱銘柄数:約1,500銘柄
・制度信用で取引できない銘柄も取引可能
・保有可能期間:最長3年

【取引の仕方】
実際に信用取引を行う際には、証券会社の画面でどのくらい株式の在庫があるのかを早めに確認しておこう。在庫がなくなってしまうと一般信用取引ができないからである。ただし、在庫がなくなることを心配して早く注文を入れすぎると、株を借りている期間が長くなってしまう。貸株料は株を借りている期間の長さにも関係するので気をつけよう。カブドットコム証券では、在庫が少なくなっている銘柄についてはその旨が在庫確認画面に表示される。この表示も活用しながら、どのタイミングで信用売り注文を出すかを検討しよう。

【具体的な銘柄】
5〜10万円内でもらえる株主優待銘柄を購入するならカブドットコム証券が手数料が一番お得だ。具体的にどのような銘柄と株主優待があるかというと、大手カラオケ店「シダックス」のルーム料割引券、ステーキ宮や居酒屋甘太郎で有名な「アトム」、レジャー施設「ラウンドワン」の割引券などがある。


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SBI証券のクロス取引

SBI証券は、比較的高額のクロス取引を行う際にコストが低く済む証券会社だ。

クロス取引の流れ

クロス取引の流れとしてはまずSBI証券のコールセンターでクロス取引の注文である旨を伝え、注文した日の16時頃に、クロス取引に係るご注文の売却が執行される。そして翌営業日8:45頃に、クロス取引にかかる注文の買付が執行され。その際、SBI証券が相手方となり、お客さまの買付の約定が成立するという流れになる。

SBI証券で得られる具体的な銘柄

さらにSBI証券は株主優待をもらえる最小の株単位の額(最小単元の額)が15万円以上の株主優待銘柄で手数料が一番安い。株主優待銘柄では15万円以上の銘柄が大多数を占めており、例えばマクドナルドの食事券や東京ディズニーリゾートの一日チケット、やJALの国内線50%割引など人気の株主優待銘柄ならSBI証券が特におすすめである。


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まとめ

株主優待は、クロス取引を活用することで低リスクで入手できる。はじめは面倒に感じるかもしれないが、一旦慣れれば非常に便利である。株主優待商品が届くころにはクロス取引の手順に馴染んでくるだろう。クロス取引の費用を抑えるのに役立つのが一般信用取引であり、SBI証券のほか、対象銘柄の多いカブドットコム証券、少額取引の手数料が安い松井証券で一般信用取引を行うことができる。

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