金沢,北陸新幹線

北陸新幹線の開通が大きな話題となった金沢市。街は新幹線開通の祝賀ムードに包まれていたようだが、新幹線開通は不動産市場にどのような影響をもたらしたのだろうか? 新幹線開通で賑わう金沢市の不動産市場を見てみよう。


公示地価、マンション価格共に上昇

新幹線の開通は、金沢駅周辺の不動産価格上昇には大きく寄与しているようだ。国土交通省が3月18日に発表した公示地価によると、JR金沢駅西側の商業地調査地点の上昇率が、全国1位の前年比プラス17.1パーセントを記録した。

外国人や投資家の資金流入が続く東京都を見てみると、地価上昇率の前年比最高地点である中央区銀座ですらプラス14.2パーセントである。それを鑑みると、非常に大きな上昇率と言っていいだろう。地方の不動産価格下落が進む中、金沢駅徒歩圏のエリアは、住宅地、商業地ともに上昇を記録しており、明らかな新幹線開通効果が見られる。

市街地に多く建設されるマンションの価格にも、大きな上昇が見られる。東京カンテイの『中古マンション価格天気図』によると、石川県の中古マンションは、2014年3月に70平方メートルあたりの価格が平均1,090万円であったのに対し、2015年3月は1,502万円となった。

この上昇は、石川県のマンションがほぼ金沢市に集中していることが大きく関係している。中古マンションの1年ごとの平均価格は、その年に販売されていたマンションの立地やスペックの影響が大きいものの、新幹線の開通が大きな影響をもたらしたと考えるのが自然だろう。


地域によって大きな差も

だが、金沢市でも金沢駅から離れると公示地価が横ばい、もしくは下落しているエリアが多く、同じ金沢市でも地価が前年比マイナス6.2パーセントを記録した地域もある。地価の差は金沢駅からの距離の長短により明白な違いが出ており、新幹線開通の恩恵は地域によって大きな格差があるようだ。

以上を踏まえた上で、金沢市における住宅や投資用物件の購入についてはどのように考えればいいだろうか? 当たり前のことではあるが、経済合理性を考えるのであれば、不動産の購入については慎重な見通しを持っておきたい。たとえ新幹線が開通したとしても、開通した地域の経済や不動産が簡単に上向く時代ではもはやないのだ。

近年、東北新幹線が開通した新青森駅や、九州新幹線が開通した鹿児島中央駅近辺の地価は、依然として下降または横ばいを続けている。交通が便利になっても、人口が減少し経済成長のポテンシャルが小さくなった日本において、地方都市は厳しい競争にさらされている。

街に魅力がなければ仕事は生まれず、若者は街を離れて人口は減り、不動産需要は当然少なくなり、結果として価格は下がると考えられる。

幸い金沢市は、東京から最短で2時間半足らずの距離にあり、東京~大阪間よりも地理的には近い。また、美しい街並みやおいしい料理など、日本人・外国人を問わず観光客を引きつける魅力も備えている。

全国の地方都市が人口減少に苦しむなか金沢市は増加傾向にあり、2015年1月には過去最高の464,840人となった。新幹線開通を機に、さらなる成長を遂げることになるかもしれない。

もしも金沢市で不動産購入を検討するならば、金沢駅の西口エリアに注目したい。現在、金沢駅の西口近辺では大きな再開発が進んでいる。金沢市は古くから、金沢城跡や兼六園のある駅の東側を中心に栄えてきた。しかし、駅の東口は開発の余地が限られていることもあり、近年では西口エリアが開発されている。

『金沢駅西新都心』とも名づけられている金沢駅の西口は、2014年にバスロータリーを新たに完成させるなど発展を続けている。前述した公示地価上昇率前年比1位の地点も、駅西側の金沢市広岡1丁目である。新たなホテルや商業ビルの開業が続く金沢駅西口エリアでは、今後も地価の上昇傾向が続くものと考えられる。(ZUU online 編集部)

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