米国ハイ・イールド債券、今後のパフォーマンスは?

過去のパフォーマンスの良さを確認した上で、米国ハイ・イールド債券の今後の見通しを、バリュエーション(債券価格の割高・割安の度合い)の観点から述べた。

その上で、米国ハイ・イールド債券のスプレッドの推移(1997年3月末〜2015年3月末)の動向に注目した。過去平均値のスプレッド(米国債に対する上乗せ利回り)が 581bps(5.81%)であるのに対し、2015年3月末は、482bps(4.82%)をつけていることから、米国ハイ・イールド債に「割安感はない」とした。

しかし、1997年〜1998年や、2000年半ばなどの過去の景気回復局面においては、現在よりさらに低いスプレッドが続いたとし、良好なファンダメンタルズが続くとされる今日においては、「今後スプレッドはさらに狭まっていくことが想定されるため、まだまだ投資妙味はある」と述べた。

景気局面ごとのリターンを見てわかる事実

米国ハイ・イールド債券の価格変動と金利収入を合計した「景気回復局面別の年率トータルリターン(1995年第1四半期〜2014年第4四半期)」に注目し投資妙味を語った。

景気回復局面を、不況期(GDP成長率0%より下)、低成長気(同0%以上〜2%以下)、拡大期(同2%より上)の3つに分けて説明し、その中でも、同債券のパフォーマンスは、GDP成長期0%〜2%の低成長期局面においてもっとも良く、11.64%のパフォーマンスが見られることを述べた。この局面では、企業は売上を上げることができ、かつ、インフレプレッシャーを気にせず済む、理想的な環境であるとした。今後もこのような好環境が続くとした。

また、GDP成長率が0%以下の不況期でも、4.36%のトータルリターンがでていることを示し、短期的には損失を出す可能性はあるが、長期的に投資をすることではプラスのリターンを得ることができることも述べた。

同氏は、フィデリティのハイ・イールド債券を選ぶべき理由を、過去1年・3年・5年・10年間の米ドル・円ベースでベンチマークを上回る成績を上げており、一貫した収益を生み出している点を上げた。今後短期的な相場の値動きが大きい環境は当面続く見通しとのことだ。