金利上昇局面においてREITのパフォーマンスは下がる?
このように見ると、金利上昇局面においては、REITのパフォーマンスは下がると見ることができる。しかし、この点に関して、スティーブ・ビューラー氏は、過去(1994年〜2015年3月末)の米国REITの金利上昇への反応を解説し、以下のように述べた。
「金利上昇局面においては、米国のREITのパフォーマンスは落ち込むといわれており、確かに米国REITは金利上昇後、一時的にパフォーマンスが低下する」とした上で、「過去9回の金利上昇局面では、米国REITは6回プラスのリターンとなり、そのうち5回は米国株式を上回るパフォーマンスとなった」と述べた。
また、現在、米国REITと米国株式の相関関係が2001年以降の平均値以下になっており、米国株と米国REITを保有することで分散効果が生まれる点にも言及した。
2015年以降のマーケット見通し
昨年から、景気循環の拡張期にある米国は金融引締めを行い、中国・日本・欧州は金融緩和を行うという、2極化の状況が続いている。今年もこの流れは継続するとし、よりボラティリティが高まるとのこと。リスク要因として、FRBの金融引き締め実施によるボラティリティの高まり、中国の成長鈍化と金融政策、日本の景気の弱さなどをあげた。
今年の米国REITの見通しは、堅調なGDP成長率と労働人口の伸び率の回復の2点をあげ、堅調に推移することを示した。バリュエーションに関しても、適正な水準にあり、NAV(REITの純資産価値)を小幅に上回る水準で取引されていることにも言及した。
現在、機関投資家は米国不動産への目標配分比率を引き上げており、米国の商業不動産に対する海外投資家からの需要も2012年から上昇し続けている。米国不動産市場へ向かう今後も巨大な資金により、価格の下支えがなされるだろう。(ZUU online 編集部)