アベノミクスの「第三の矢」の中核として期待されるのが、国家戦略特区による経済の成長戦略である。地域を限定した大胆な規制緩和や税制面での優遇によって「世界で一番ビジネスがしやすい環境」の創出という狙いははたして成功しているのだろうか。この国家戦略特区とはどういうものなのか、何を目的になされているのかについて解説する。

国家戦略特区を、首相官邸のHPは「産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るため、2015年度までの期間を集中取組期間とし、いわゆる岩盤規制全般について突破口を開いていくもの」と定義している。

これまでも、小泉政権の「構造改革特区」、民主党政権の「総合特区」など似たような特区が設けられてきたが、いずれも成功していないのが現状だ。従来の特区制度は、地域からの要望に応えるという枠組みだった。これに対して、国家戦略特区は、民間・地方公共団体と国が一体となって取り組むべき事業を推進するため、国が自らの目的意識に基づいて〝次元の異なる〟規制改革を実現するというところに違いがある。