訪日外国人の旅行消費額

訪日外国人旅行客数の急増および円安の進展、アジア地域の所得の増大、免税品目の拡大・免税制度の簡素化などに対応して外国人旅行客の国内での消費額は拡大している。2014年の訪日外国人による旅行消費額は2兆278億円と2兆円を突破し、前年比+43.1%の大幅な増加だった[図表6]。

消費総額のうち、中国が全体の28%を占め、次いで台湾(同18%)、韓国(同10%)、アメリカ(同7%)、香港(同7%)となっている。

訪日外国人の一人当たりの旅行支出額は、2014年全体の15万1千円だった。中国人の一人当たり支出額は特に多く、2014年は23万2千円、2015年第一四半期には30万円へと急増している。

なお、百貨店における訪日外国人売上高(免税手続きベース売上高)も大幅な増加が続いている。2013年4月の訪日外国人売上高は単月で過去最高の38億6千万円(総売上高の0.8%)だったが、2014年4月には60億9千万円(同1.5%)に、2015年4月には197億5千万円(同4.2%)に達した。


国内ホテル投資・ホテル計画

最近の訪日外国人旅行者数の急増とホテル稼働率の上昇などから、国内ホテルへの投資が活発となっている。ジョーンズラングラサール(JLL)によると、2014年の国内ホテルの売買取引数はリーマンショック前のピークを超えて過去最高の101ホテルに達した。

ホテル売買が活況を呈する反面、ホテルの着工件数は、まだリーマンショックや東日本大震災からの回復途上にある。2014年の宿泊業用建築着工件数は867件(2005年比▲43%減)で、着工床面積は74万m2(同▲50%減)であった。

現在の外国人旅行者数の増加と2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、現在、多くのホテル建設計画が動き始めている。計画が明らかになっているホテルチェーンの建築計画だけでも、2015年の開業予定は全国で54軒(1万2千室)、2016年も24軒(5千室)だった[図表7]。

2015年~2018年の開業予定は2万室を上回る状況にあるが、今後、さらに開発計画が増加することが予想される。

竹内一雅
ニッセイ基礎研究所 金融研究部

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