更なる削減は可能か?

ギリシャは今後、人口の減少とそれに伴う労働人口の減少、更に高齢化に伴う65歳以上の老齢人口比率の上昇が進むと予想されています。

従ってこれまで以上に年金が社会保障制度の中心として重要な役割を果たすことになります。しかしながら経済活動の停滞、失業率の上昇等の影響によって年金掛金の減少も、2011年の176億ユーロ(約2兆2,800億円)から2014年の113億ユーロ(約1兆4,700億円)と著しいものがあります。

新聞の報道等によれば、EUは年金関連の支出を対GDPで更に1%削減することを求めているようです。これまで実施されている財政改革案では、年金関連支出は2015年の233億ユーロ(約3兆300億円)から2018年の242億ユーロ(約3兆1,460億円)への増加が予想されていました。

仮にこの数字からGDPの1%削減するということになると、新たに18億ユーロ(約2,340億円)の削減という計算になります。既に、年金受給者の約45%が貧困水準を下回る年金しか受け取っていないという状況を考えると、この要求は相当な重みを持つように見えます。EUとギリシャの間でこれからどのような解決策が見出されるのか注目したいと思います。

前田俊之
ニッセイ基礎研究所 金融研究部

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