imasia_14416274_S
(写真=PIXTA)

災害に対する備えに持ち家も賃貸も違いはない。建物そのものの安全性を高めること、被災後インフラ復旧まで生活できる最低限の物資を備えること、そして、いざというときに助け合う、共助の関係を日頃から築いておくことが基本となる。地域の安全性を高めて、防災力を強化しようとするならば、当然のことながら賃貸住宅も含めた災害対策が必要になる。

賃貸住宅の防災力強化を促進するためには、賃貸住宅に関わるオーナー、管理会社そして入居者それぞれに向けた取り組みが必要ではないか。さらに、共助の関係を築くためには、地域との連携が必要不可欠になる。


地域の防災力を高めるためには賃貸住宅も含めた災害対策が必要

全国の持ち家・借家世帯比率は、持ち家世帯約63%、借家世帯約37%である。ただし、この比率は地域によって少しずつ異なる。

例えば東京都は約53%が借家で、持ち家を上回っている。沖縄県も東京都に次いで借家比率が高く約49%、その他福岡県、大阪府、北海道、神奈川県が比較的借家比率が高く40%を超えている。一方、秋田県や富山県は約21%と、全国平均の半分程度の地域もある。(図表-1)

都道府県別持借世帯比率

このように、大都市部ほど借家世帯が多く、地方都市部は持家世帯が多くを占めるという違いはあるが、災害に対する備えに持ち家も賃貸も違いはない。建物そのものの安全性を高めること、被災後インフラ復旧まで生活できる最低限の物資を備えること、そして、いざというときに助け合う、共助の関係を日頃から築いておくことが基本となる。

共助の関係ということでは、マンションやアパートなど集合住宅の場合、入居者同士の共助と、立地する地域コミュニティとの共助、両方の関係づくりが必要になる。地域の安全性を高めて、防災力を強化しようとするならば、当然のことながら賃貸住宅も含めた災害対策が必要になる。次章以降で、賃貸住宅の災害対策について考察することとしたい。