あおぞら銀行も1,434億円を返済

一方、あおぞら銀行も旧日本債券信用銀行時代に受け入れた公的資金1,434億円を6月に前倒しで完済した。同行では金融庁に提出した経営健全化計画に新たに「一括返済に向けて」という項目を設けていた。

当初は2022年までに分割で返済する計画だったが、株価が堅調に推移することや財務の健全性維持などの諸条件が満たされたことから前倒し完済を実現。返済後の経営戦略は、シニア層中心の個人や中堅・中小企業を主力分野と位置づけ、地域金融機関との連携も探る方針だ。また新たな柱として不動産事業にも注力している。

返済に苦しむのが新生銀行

公的資金を完済して事業拡大を進めるりそなHDやあおぞら銀行とは対象的に、返済に苦しんでいるのが新生銀行だ。

この原因はりそなHDやあおぞら銀行が政府に対して公的資金分を発行したのが優先株のままになっていたため、相対による分割返済が可能となったが、新生銀行が政府に対し発行した公的資金優先株は普通株に転換されてしまっているため株価の低さが大きなネックになってしまっているからだ。

また、新生銀行では公的資金注入後、他行との差別化をはかるため信販会社のアプラス、消費者金融のシンキとレイクを買収したことも足かせになっており、貸金業法改正による過払い利息返還などで損失計上も多額となり、返済を優先させたあおぞら銀行とは対照的な結果となっている。

今後は収益力を高めるために個人向けの金融商品を主力事業として拡大させるともに、新たな経営陣のもとで独自のビジネスモデルを構築し、公的資金の早期返済を実現することが最優先課題となる。

同時期に国から公的資金の提供を受けた各行であっても、その経営戦略により事業の結果が大きく異なってきており、明暗が分かれる状況となっている。特に、公的資金返済を終えたりそな銀行が地銀再編の中心になるか、次の一手に注目である。(ZUU online 編集部)