住宅メーカーの販売戦略とストアが一致
開設時から、すでに豊富な商品、サービスを揃えている「リフォームストア」であるが、その充実はソニー不動産だけではなく、大手住宅メーカーの積水ハウス <1928> 大和ハウスリフォーム、ダスキン <4665> の各社による協力体制によるものだ。4社ともにオンラインによる商品、サービス提供は初の試みである。
積水ハウスは「定額パッケージ型リフォーム」という商品を開発して出品している。「リフォームストア」を担当するのは100%出資のグループ会社である積和建設だ。積水ハウス広報資料によると「リフォームストア」で販売する、住宅設備を中心とする小規模リフォーム(金額の目安100万円以内)をきっかけに、内装・外装を改修する中規模リフォーム(金額100万~500万円程度)、個別提案のリノベーションになる大規模リフォーム(金額500万円以上)へと受注を広げるリフォーム事業拡大の道筋を描いている。この度のネット販売で住宅リフォームの楽しさを知ってもらうことで、リピート受注につなげるとしている。
住宅リフォームの国内市場規模はどうか。富士経済(東京都中央区)の調査によると、2015年度の予測は8兆745億円(元請け金額ベース)。2014年の見込みは7兆8735億円であり前年度比2.5%増となる。
その後は2016年に消費税率引き上げ前の駆け込み需要で8兆5000億円、2017年はその反動で8兆1025億円と試算する。この年に業績を伸ばすのはハウスメーカー系、小売り系(家電量販店やホームセンター)、リノベーション系、住設建材系の4業態と見る。
業態別では、ハウスメーカー系は販売戦略を新築からリフォーム提案に移す事業者が多いと分析している。ハウスメーカー系の2017年度予測は7,700億円で13年度比127.3%。今後はハウスメーカー系の事業者によるリフォーム需要の開拓が進むと見る。
加えて、中古住宅の需要増が見込まれることから、リノベーション系が拡大するとしている。ここで、初めて住宅を取得する層(一次取得者層)はインターネットの利用に慣れている若年層が多く、リノベーション系の事業者はホームページ上のコンテンツを充実させる傾向があるとする。リノベーション系の2017年度予測は1,460億円で13年度比110.6%と予測している。
斬新な「定額制」「カード決済」でリフォーム潜在需要に訴える
これらの住宅リフォーム市場背景を見ると、大手住宅メーカー各社によるAmazonへの「出品」は必然の流れであるのだろう。大手の規模感を活かして、ショールームに足を運ぶ時間的なゆとりのないような顧客、つまり潜在顧客に迅速に対応する環境が生まれることになる。
Amazonにとってはどうか。実は、Amazonは住宅建築、リフォームに関連した商品を紹介する売り場を2012年にオープンしている。当時の「新築・リフォームストア」は照明器具や水栓金具などの住宅設備や、門扉などのエクステリア(外装)を中心に品揃えをしていた。旧ストアを新装開店する形で、新築からリフォーム提案、リノベーション提案に軸足を移しつつある住宅メーカーを「出品者」として迎え入れて工事費込みのパッケージ商品を揃え、一般利用者に広く開放したのが今回の「リフォームストア」と言える。つまりAmazonにとっても、住宅向け商品の売り場を充実させる機会となった。