◆J-REIT(不動産投信)・不動産投資市場

2015年第2四半期の東証REIT指数(配当除き)は、長期金利の不安定な動きやギリシャ債務危機などを背景に続落となり3月末比▲3.3%下落した。セクター別ではオフィスが▲4.6%、住宅が+2.2%、商業・物流等が▲4.0%となった(図表-34)。

6月末時点における市場全体の分配金利回りは3.2%(対10年国債スプレッド2.8%)、NAV倍率は1.4倍、市場時価総額は10.5兆円である。

上半期累計では▲5.0%下落し、好調な株式市場とは対照的にJ-REIT市場の調整局面が長期化している。しかし、市場のファンダメンタルズは着実に改善している。例えば、Jリートが保有する不動産の鑑定評価額は年率約4%上昇し、市場全体の含み益は8,151億円に拡大している(図表-35)。

図表34 35

J-REITによる第2四半期の物件取得額(引渡しベース)は4,341億円、上半期累計で9,301億円(前年同期比+19%)となった。引き続き物件の取得競争が厳しく投資利回りが低下しているものの、J-REITの外部成長ペースは昨年水準を上回っている(図表-36)。

図表36

また、6/30にサムティ・レジデンシャル投資法人が28物件・305億円で新規上場し、銘柄数は52社となった。日経不動産マーケット情報によると、2015年4-6月の不動産売買高は7,762億円と、前年同期比で+1%上昇とほぼ横ばいであったが、1-3月の1兆4,420億円からは大きく減少した(図表-37)。通常、第2四半期は売買額が減少する傾向があるため第3四半期には回復すると見られる。

図表37

(1)「上場企業の7割経常増益-円安・訪日消費追い風」日本経済新聞2015.8.3朝刊2建設労働需給調査(2015年6月調査)によると、「今後の労働者の確保に関する見通し」(8職種計:型わく(土木)、型わく(建築)、左官、とび工、鉄筋工(土木)、鉄筋工(建築)、電工、配管工)は、(2)015年9月の見通しで「困難」17.5%(前年同期26.9%)、「普通」60.2%(同54.1%)、「容易」12.4%(同11.1%)、「不明」9.8%(同7.9%)であった。
(3)Aクラスビルの定義は図表-15の脚注を、Bクラスビルの定義は図表-17の脚注を参照のこと
(4)「オフィス賃料、「2017年ピーク説」は本当か」東洋経済オンライン2015.8.1より。また、三菱地所は2014年4月から新規募集賃料を+10~20%、継続賃料を+5~10%引き上げる増額改訂をはじめており、こうした動きもAクラスビルの賃料上昇に反映していると思われる。
(5)仙台市において応急仮設住宅として借上げられていた民間賃貸住宅数は、2012年3月末の9,838戸から2015年6月末には5,020戸へと減少が続いている(仙台市復古事業局「仙台復興リポート」2015.6.24より)。
(6)「5月の訪日外国人、前年比50%増の164万人沸き立つ内需企業」日本経済新聞電子版2015.6.17
(7)「Jフロント、大丸心斎橋店建て替え大阪激戦生き残り挑む」日本経済新聞朝刊、2015.7.25
(8)宿泊旅行統計の4月と5月は第2次速報値、6月は第1次速報値であり、今後、変更となる可能性が高い。

竹内一雅
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 不動産市場調査室長

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