マーケットビュー
◆中国株 元安一服と国有企業改革期待で続伸か 中国銀行などの大手企業決算に注目
先週は、本土市場では上海総合指数が1週間で5.9%高と大幅続伸しました。国務院が国有企業改革案を承認したと報じられたほか、国有企業改革の一環として親会社の統合観測が出ていた海運株の中海コンテナ(601866)などが重大事項を計画中として取引を停止したことを受け、改革の進展期待で上海総合指数は買い先行となりました。
ただ、10日発表の中国主要経済指標が軒並み予想を下回り景気減速懸念が高まったことに加え、11日に中国人民銀行が人民元切り下げに動いたことで資金流出が懸念されたこともあり、一旦上昇が一服しました。ただ、13日の人民銀行の記者会見もあって今後の人民元大幅切り下げ懸念が後退したことから、上海総合指数は持ち直し、週末14日には一時3週間ぶりに4,000ポイント台に乗せる場面もみられました。
香港市場ではハンセン指数が1週間で2.3%安と4週続落しました。中国人民銀行の人民元切り下げを受けた資金流出懸念や経済指標の悪化による中国景気の減速懸念が嫌気された中、ハンセン指数は下落して始まり、節目の2万4,000ポイントを割り込みました。
ただ、その後は好調な中間決算を発表した騰訊(テンセント・ホールディングス、0700)や国有企業改革期待による買いが入った中国中信(CITIC、0267)などが下支えとなり、24,000ポイントを挟んで一進一退の展開となりました。週明けは香港、中国市場ともに下落してスタートしていますが、月曜も人民元基準値が僅かながら続伸し元安一服感が強まる中で、資本流出懸念が後退に向かうとみられ今週は香港市場、中国市場とともにしっかりした推移となりそうです。
また、中国証券監督管理委員会(証監会、日本の金融庁に相当)は14日引け後、政府系証券金融会社の中国証券金融が株価対策で買い入れた株式について「今後数年は売却しない」と発表したことも支援材料となりそうです。さらに、中国国有企業の改革進展への期待が高まる中で、上述の中国中信をはじめとする国有改革関連銘柄の物色が続く可能性が高く、引き続き相場の支えとなりそうです。
こうした中、上海総合指数は今週中節目である4,000ポイント上抜けを窺う展開となりそうで、どこまで上昇を拡大できるかがポイントとなりそうです。一方、ハンセン指数は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表を控えて様子見ムードが強まる中、企業決算発表もあって神経質な展開となりそうです。
企業決算発表予定としては、香港市場では19日に中国銀行(バンク・オブ・チャイナ、商業銀行、3988)(予想EPS:0.16元)、20日に中国移動(チャイナ・モバイル、無線通信サービス、0941)(予想EPS:1.73元)及び中国平安保険(ピンアン・インシュアランス、2318)(予想EPS:1.05元)、21日に中国聯通(チャイナ・ユニコム、各種電気通信サービ、0762)(予想EPS:0.13元)などが予定されており、市場予想に届くかが注目されます。
林宇川(TonyLin)
マネックス証券
フィナンシャル・インテリジェンス部
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