人間・松尾直樹、その死生観と4つのライフテーマ

◆予想できる未来は面白くない

人生を選ぶにあたって、「予想できる未来は面白くない」と考えた同氏。エクセルで生涯の賃金が計算できてしまう人生はつまらないと思ったという。根底に流れるのは、学生時代に尊敬していた先輩の死を経験したことによる死生観だ。人間、いつでも死ぬ。自分はどう生きてどう死ぬか。この価値観に基づいて自分が納得できる生き方として選んだのが、就職せずに自分でビジネスを行うことだった。

目的はもちろん金ではない。どれだけ稼いでも、最終的には裸で死に、骨になる。死ぬまでにどんな物語を綴るのかが人生の意味だとすると、人生が分かってしまうことが一番面白くない。だから、小さな損得ではなく、予想できない未来を選んだ。

◆4つのライフテーマ

同氏には、ライフテーマが4つある。1つは「ゼロから1を作る環境を作ること、そしてゼロから1を作る人材を生み出す環境を作ること」だ。2つ目は、「若者を刺激し支援すること」。

教育という言葉を嫌い、「変化の激しい時代なので、自分の成功方法は通じないかもしれない。若者には自分の感性で自分の道を見つけてもらい、それを支援したい」と考える。

そして3つ目は、チャンスの平等を世界に広げていくこと。これは前述の「フェア」の考え方だ。最後の4つ目は、持続可能な社会づくりに貢献すること、この4つのライフテーマに自分の命を使うと決めている。

◆破綻している金融資本主義

「みんなで手をつなぎましょう」と牧歌的な理想を掲げながら、実質は権力が集中し腐敗していく共産主義。一方で、世界中がラスベガスを目指すような資本主義もまた、間違っていると主張する同氏。地球には物理的な限界がある。資源やエネルギー、食糧についても、どれだけのポテンシャルを有するか、すでに科学によって明らかにされている。

しかし、資本主義は地球に物理的な限界があることを前提としていない。19世紀には、地球のポテンシャルは無限という前提で良かったかも知れない。しかし、今はもうそうではない。

「結果は僕らが決めることではなく、歴史が決めること。僕らにできるのは、必死で生き残ろうとすることだけ。生き残るために最善の手を打っていくことしかできない。壊れていく地球や、破綻している資本主義の問題をどうするかが僕らの世代の最大の歴史的課題。子や孫の世代になったとき、僕らが課題解決出来なかった、パラダイムシフト出来なかったことで、『私達の世界と地球は本当にひどい事になっている!』と責められないようにしないといけないんです」

社会を糾し、地球を救う反骨の正義漢。夢をエネルギーに変え、今日も奔走する。

松尾直樹(まつお・なおき)氏
【プロフィール】
1974年 愛知県岡崎市出身。1998年 東京大学法学部卒業。1997年 大学法在学中に友人と「株式会社ネットワークインフォメーションセンター」を設立。その後も現在まで様々なビジネスを手がける。2012年、株式会社ZEエナジー社外取締役から代表取締役に就任。(提供: Biglife21 )

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