巨額のリターンか失敗か、どちらにも転ぶ可能性

巨大複合企業傘下の小さな制作スタジオには、自由にできる雰囲気がある。米ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)が1作品で失敗したとしても、米ウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company) の業績に大きなダメージを与えることはなかろうないだろう。

独立系のままでは、 同社は甚大なリスクを背負う。他の独立系映画制作会社、加ライオンズゲート(Lions Gate Entertainment) と比較しても、 同社は年間2作品のみの公開であるゆえに業績悪化のリスクが大きい。1作品の失敗は業績に大きく響き、2作品の失敗はもはや致命的になりうる。

だが年間2作品のみにとどめることにより、同社の業績が上向く可能性も極めて大きい。時価総額20億ドルの企業が10億ドル以上の世界興収を上げれば、株価は上昇するだろう。逆にもし同社が時価総額1,000億ドルを超える企業の子会社であるならば、親会社の業績には影響を及ぼすものの、実際に株価が上昇するほどではなかろうないだろう。


米国外からのウケがより重要

『シュレック』シリーズの第1弾が2001年に公開された時には、世界興行収入のうち55.3%を米国内が占めていたが、次第に米国外の興収が上回るようになる。同シリーズ最終作、『シュレック フォーエバー』では、米国外からの興収が68.3%を占めた。

ここ数年、 同社の作品では世界興収の70%以上が米国外で占められることが通常だ。世界でヒットを収めることが同社には重要である一方、米国内の興収比率も高めていくことが有効だろう。ちなみに、ピクサーの興収上位15作品においては、米国外の興収比率は平均57.6%だ。