アップル株の推移
(写真=The MotleyFool)


iPadの人気再燃がアップルを窮地から救う?

アップル <NASDAQ: AAPL> の株主にとっては厳しい8月となった。好調な出だしだった年始めから一転、まだまだ2005年度後半の展開に期待は出来るものの、現在までのところはプラスマイナスゼロに近い利益となっている。

はたして、アップルの株価が再上昇する日は訪れるのだろうか? 株価を再び高騰させる可能性について、以下の3つのシナリオを想定してみた。より広範な相場の大幅下落が、アップルの株価に打撃を与える恐れがあるのは確かだが、シナリオの想定通りにことが展開すれば、株主にとっては有難い結果をもたらすだろう。


iPhone 6とiPhone 6 Plusの快進撃が続く

iPhone 6の平均小売価格は、前四半期から高騰しているにも関わらず(前年比99ドル増)、売上台数は35%増加という勢いだ。

一足先に画面の大型化に乗り出して大成功を収めたアンドロイドに見習い、両機種に大画面を採用した事が、売り上げ増加に貢献したものと思われる。ハードウェアの更新需要が弱まると予想される将来、今後の四半期業績の頭打ちが懸念されているアップルだが、楽観的な構えを崩さないでいられるだけの条理はある。アップルのマネージメント曰く、今現在、iPhone 6及びiPhone 6 Plusを利用しているiPhone ユーザーは僅か27%に満たず、今後残りのユーザーが大画面にアップグレードする可能性に期待できる。

さらに、アップルの株価が、海外のスマホ市場で大幅な伸びを見せる可能性もある。LTEの普及率が僅か12%という中国で今後の市場拡大が期待できる一方、アメリカでは大手キャリアが携帯の購入者を対象に、より頻繁に機種をアップグレード出来る新サービスを導入している。iPhone購入者の大半は、2年ごとに新しいiPhoneに買い換える傾向にある。もしこのままiPhone の需要が伸び続ければ、アップルの株価を押し上げられるだろう。


収益を多様化させる

アップルの収益には非常に偏りがある。前四半期にアップルがあげた収益のおよそ3分の2、そして増収の95%以上はiPhoneの売り上げによるものだ。アプリ・iTunes・アップルケア・アップルペイなどを含むアップルズ・サービスの収益の大半(アップルの前四半期収益合計の10%に値する)が、iPhone関連によるものだという事実を考慮すると、先行きの不安は更に深まる。

何らかの原因でiPhoneの売り上げが低迷した場合、アップルの株価に影響を及ぼす可能性は否めない。既にこうした恐れが、最近のアップル株価急落という形になって現れたのかもしれない。単一商品をウリにする企業は、様々な売れ筋製品を持つ企業に比べると、本質的に大きなリスクを背負う羽目になる。今後の株価の上昇は、アップルが売れ筋商品のラインアップを強化出来るか否かにかかっているのかも知れない。

iPad人気を復活させるというのも、一つの手段だろう。売り上げが連続6四半期落ち込んでいるiPadだが、ティム・クック(CEO)は、iPadの需要が再び伸び始めると信じている。アップルはiPadをエンタープライズタブレットとして販売促進する姿勢を示しており、iOS 9の新機能登場も、売り上げアップに一役買うのではないかと期待される。


アップルウォッチが爆発的に売れる

アップルウォッチの売り上げが大幅に増加すれば、収益基盤を多様化させれると同時に、アップルが革命的な新商品を開発しつづける企業だという安心感を投資家達に与え、iPhoneの未来を不動のものにできるだろう。ここ5年間ではアップル初の目玉新商品であるアップルウォッチが成功を収めれば、アップルが故スティーブ・ジョブズ氏の存在なくとも、ヒット商品を発売出来る企業だとと立証することになる。アップルウォッチはiPhoneとのペアリングが必須であり、350ドルを払ってアップルウォッチを入手した購入者の多くが、当面の間はiPhoneも所有する事になる。

残念ながら、いまだに正確なアップルウォッチの販売数が公表されていない為、商品の今後の成功を予測するのは困難だ。現在、アップルウォッチは、前四半期に年間49%の増収益を見せた“その他の商品カテゴリー”に分類されているが、その収益の大半はアップルウォッチの売り上げによるものである。クックはこうした展開を早期に予想していたものの、右肩下がりのiPodに足を引っ張られる形になり、事態は予想以上に深刻そうだ。しかしながら、将来的にアップルが方針を転換することもあり得るし、特定のマイルストーンを突破できた時に、売上台数を公表するということも考えられる。

とにもかくにも、順調に“その他の商品”の売り上げが伸び続けた場合、その伸びはアップルウォッチの売上拡大に直結していると見ても良いだろう。また、こうした需要の伸びを、アナリストや外部の調査会社に前向きな動きとしてとらえてもらうことで、株価の上昇を促すはずだ。

サム・マテ-ラ(Sam Mattera) (提供: The Motley Fool

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