中国本土からの旅行者の特徴

◆日本を訪れる目的は?

それでは、中国本土から日本を訪れる旅行者にはどのような特徴があるのだろうか。本稿では、国土交通省観光庁が実施している「訪日外国人消費動向調査(平成26年年次報告書)(*1)」を元に概観してみることとしたい。

まず、訪日の目的を見ると、中国本土からの旅行者は観光・レジャー目的が55.1%、展示会・見本市、国際会議、社内会議(自社施設以外で開催されたもの)、研修、商談等その他ビジネスといった業務目的が29.0%となっており、観光・レジャー目的の方が多い。

訪日目的図3

但し、図表-3に示したように香港や台湾などでは観光・レジャー目的が8割を超えており、観光・レジャー目的で訪日する人は相対的には少ない方である。訪日する目的が何かにより、旅行者の特徴も異なると考えられることから、以下では目的別にみてみよう。

来訪回数図4

◆観光・レジャー目的の場合の特徴

観光・レジャー目的で訪日する中国本土からの旅行者は、その他の国・地域からの旅行者と同様に、20~40代の夫婦、家族・親族連れ、友人連れが多く、成田国際空港や関西国際空港などから入国し、4~6日程度で東京、大阪、京都、富士山などを回って、帰国するというパターンが多い。また、その他の国・地域からと異なる特徴としては3点が挙げられる。

第一に初めて訪日する人が多い点である。図表-4に示したように72.1%の人が1回目の訪日としており、全体の43.1%を遥かに上回っている。

第二に団体ツアーに参加した人が多い点である。図表-5に示したように61.1%の人が団体ツアーに参加しており、個別手配の26.5%を遥かに上回っている。全体では個別手配が50.9%と団体ツアーに参加の33.2%を大きく上回っていることを踏まえれば、中国本土からの旅行者のひとつの特徴だといえるだろう。

手配方法図5

そして、第三に消費単価が高いという点である。1人1回当たり旅行消費単価(パッケージツアー参加費内訳含む)を見ると、中国本土からの旅行者は約23万円で、オーストラリア、ロシア、英国に次いで第4位となっており、全体の14.7万円を大きく上回る。特に、買い物代に関しては中国本土からの旅行者が約14万円と最も多くなっており、"
爆買い"と呼ばれる所以でもある(図表-6)。

買い物代図6

◆業務目的の場合の特徴

業務目的の場合にも、その他の国・地域からの旅行者と同様に、自分ひとり又は職場の同僚とともに入国し、ホテルや学校の寮・会社所有の施設に宿泊して、業務を終えて帰国するパターンが多い。

観光・レジャー目的の場合と異なる点を列挙すると、1.初めて訪日する人の比率が31.4%と小さいこと(観光・レジャー目的では72.1%)、2.男性の比率が70.2%と多いこと(観光・レジャー目的では41.1%)、3.個別手配が93.0%と多いこと(観光・レジャー目的では26.5%)、4.滞在日数は4~6日間が46.2%と観光・レジャー目的と同様に最大となっているが、28~90日間も13.0%と観光・レジャー目的(0.4%)よりも多いことなどが挙げられる。

また、観光・レジャー目的の場合と共通する点としては、買い物代が約12.7万円と大きいことがある(図表-7)。中国本土からの旅行者の"爆買い"は、観光・レジャー目的の場合だけでなく、業務目的の場合にも見られる現象といえるだろう。

買い物代図7