中国側から見た日本への旅行

一方、中国側の状況を把握するため中国国家観光局の公表データを見ると、14年に中国本土から境界を跨いで旅行した人の数(出境者数)は1億人の大台を突破して約1.17億人となった。2004年には0.29億人だったので、10年前に比べると4倍(年平均15.0%増)である(図表-8)。

旅行者数図8

14年の旅行先別内訳はまだ公表されていないので、13年の内訳を見ると全体では0.98億人、最も多いのが香港の0.40億人でシェアは41.0%、第2位はマカオの0.25億人でシェアは25.7%と、中国の特別行政区である香港・マカオが3分の2を占めている(図表-9)。

しかし、香港・マカオを除いても旅行者数は0.33億人に達しており、10年前(2003年)に比べると5.3倍(年平均18.2%増)と、全体より高い増加率を示している。香港・マカオを除いた順位を見ると、韓国が13.0%で第1位、タイが12.3%で第2位となっており、日本の5.6%に比べるとシェアは2倍を超えている。

10年前に比べると韓国とタイへの旅行者数はともに約8倍に増えており、日本への旅行者数の約2倍(14年の実績が判明している日本側統計では約4倍)はむしろ低い方で、まだまだ増加する余地が大きそうである。

また、同じ中国人でも親日派が多い台湾では、14年に日本を訪れた旅行者数は中国本土に次ぐ第2位で、シェアは25.1%に達しており、韓国の5.3%、タイの3.5%を遥かに上回っている(図表-10)。

従って、日中関係の改善が進んで中国本土の対日感情が好転すれば、中国本土から日本を訪問する旅行者は飛躍的に増加する可能性が高いと思われる。

旅行者数図9-10