(写真=PIXTA)
8月28日、女性管理職の割合に数値目標の設定などを義務付ける「女性活躍推進法」が成立した。同法によれば、従業員301人以上の企業は女性登用の推進に向けた行動計画の策定と公表を求められることになる。
安倍政権は「女性活躍」を成長戦略の中核の一つに掲げ、「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」との目標を掲げている。人口減少が進む中、女性に活躍してもらい、労働力不足による社会の活力低下を防ぐ狙いもあってのことだ。罰則規定があるわけではないが、計画策定と公表の義務付けによって女性登用を進める効果を狙っているのだ。
投資家は、同法に関連する銘柄の動向には十分に注意しておく必要があるだろう。
「なでしこ銘柄」とは
2012年度に開始された「なでしこ銘柄」には、経済産業省が東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に積極的な企業が選定される。東証一部上場企業を対象に、女性のキャリア支援、仕事と家庭の両立支援の2つの側面から見た各業種の上位企業の中から、財務面でも安定している企業が選ばれる。
選定企業は2012年度は17社、13年度は26社、14年度は40社となり、3年連続で増加した。3年を通じて「なでしこ銘柄」に選ばれているのは、次の6社だ。
東レ <3402>
合繊最大手であり、炭素繊維では世界首位の同社は、2004年に「女性活躍推進プロジェクト」を発足させるなど、女性を大切にする企業として知られている。働き方の多様性を尊重する「ダイバーシティ」への取り組みを積極的に進めてきた結果、上位の職位に就く女性社員数、女性比率は年々上昇しているという。
労使による「ワークライフバランス専門委員会」は、ベビーシッター費用補助や再就業希望社員登録制度など、社員が働きやすい企業風土づくりに努力を払っていることも高く評価している。
住友金属鉱山 <5713>
非鉄金属と電子材料を2本柱とする同社は、2012年に人事部内に女性活躍支援グループを発足させた。女性をはじめとした多様な人材が働きやすい職場づくりを進めることで、企業としての競争力を高め、持続的発展を目指す。
具体的には、管理監督者や女性社員を対象とした研修による意識改革、仕事と家庭を両立させ働きがいのある職場環境を整えるための制度構築、各生産現場で女性が働きやすい環境を整えるためのインフラ整備などに取り組んでいる。
日産自動車 <7201>
自動車大手の同社は、車選びに女性の意見が強く反映されていることに着目。「日産レディー・ファースト」をコンセプトに掲げ、女性の視点を取り入れた販売店づくりを進めている。何でも気軽に相談できる女性のカーライフアドバイザーを採用したり、子供連れの顧客向けにキッズラウンジを設けたりしており、さらには車の機能や色にも女性を意識した工夫をこらしている。
こうした「女性にうれしい」を大切にする背景には、自社の女性社員を尊重する企業風土がある。
ニコン <7731>
一眼レフカメラでキヤノンと双璧をなす同社は、女性のキャリア支援の土壌づくりとして、女性の能力開発やネットワーク形成を目指す「女性のための自己実現研修」を実施してきた。
ワークライフバランスに関しても、法定基準を上回る育児休暇や短時間勤務など、仕事と家庭の両立を支援する各種制度を整備している。同社は今後、育児・介護等に対応した在宅勤務制度の拡大など、個人の事情に合わせて働き方を工夫できる仕組みを一層充実させていく予定だという。
東京急行電鉄 <9005>
東急グループの中核である同社は、2014年10月に「ダイバーシティ・キャリア開発課」を設置し、「東急グループ女性管理職フォーラム」の実施や在宅勤務の導入などに取り組んでいる。
また、2020年度には2014年度と比べて女性管理職を倍増させるという具体的な登用目標を設定。2015年4月には二子玉川で、同社の100%子会社である民間学童保育のキッズベースキャンプと連携し、休日の事業所内保育サービスの運営をはじめた。
KDDI <9433>
CATV最大手JCOMを連結化したことでも話題になった同社は、女性活躍推進の取り組みにも総合通信会社大手としての強みを生かしている。
最も特徴的なのは、テレワーク勤務制度の活用だ。同社のテレワーク展開は、東日本大震災の被災地域の就労支援に貢献した。
なお、「なでしこ銘柄」については、経済産業省のホームページに選定方法や対象銘柄などが詳述されているので、一覧しておくことをお勧めしたい。(ZUU online 編集部)
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