マーケットビュー

◆中国株 調整一巡後反発か 貿易統計や消費者物価指数などに注目

本土市場は3日と4日が抗日戦勝記念式典で休場となるなか、上海総合指数が3日間で2.2%安と3週連続での下落となりました。中国の証券最大手、中信証券の役員がインサイダー取引の疑いで処分されたことや、1日に発表された製造業PMIが3年ぶりの低水準となったことなどが嫌気されました。

前場に下げて後場になると買戻しが入るという展開で下げ渋る場面もみられたものの、上海総合指数は結局3,200ポイントを割り込んで取引を終えています。

今週の本土市場は売り一巡後に反発する展開が予想されます。4日にインドネシアが高速鉄道を導入しないことを決め日中双方の事業案の採用が見送られたことや、抗日戦争勝利70周年の記念式典で習近平国家主席が「中国軍の人員を30万人削減する」と明言したことを受けて、鉄道株や軍需株が大きく売られ、相場の重石となりそうです。

しかし、5日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、中国人民銀行の周小川総裁が「元相場は安定に向かい、株式市場もおおよそ落ち着いた」「改革を深化するという中国政府の決心に変わりはない」などと主張したこと、また昨夜(9月6日)に中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC、日本の金融庁に相当)のスポークスマンが「信用取引のリスクが相当程度低下したほか、投資家の流動性は良好であり、今後市場が異常に変動する場合は中国証券金融が引き続き多様な手段を通じて市場を安定させる」と明言したこと、さらに証監会が株価指数先物取引にサーキットブレーカーという制度を導入することを検討していることも投資家心理の改善にある程度つながるとみられます。

このため心理的な節目である3,000ポイントがサポートとして意識されるなか、売り一巡後の反発が期待されます。

香港市場は3日が抗日戦争勝利70周年記念の祝日のため休場で4日間の取引となるなか、ハンセン指数は週間で3.6%安と7週続落となりました。

週明け8月31日は金融株を中心に買い戻しが入り小幅反発となったものの、その後は売りが優勢となりました。とりわけ、中国製造業PMIの悪化が嫌気されたほか、中国当局が株価操作への「捜査協力」で英ヘッジファンドの現地トップを拘束したと伝わったことでリスク回避のムードが強まりました。

今週のハンセン指数は、先週末の米国市場が利上げへの警戒感が強まり大きく下落したことから、大幅続落でのスタートとなりそうです。また、中国で8日-10日にかけて主要の経済指標発表を控えていることで様子見となりやすいことも相場の重石となりそうです。こうしたなか本土市場の反発に伴い香港市場も持ち直す展開となるかがポイントになりそうです。

なお、今週の9月8日には中国8月の貿易統計が、10日には中国の8月の消費者物価指数と生産者物価指数の発表が予定されており注目されます。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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