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(写真=Thinkstock/Getty Images)


株価暴落、人民元切り下げ…忙しい中国マスコミの夏休み

夏休み、中国のマスコミは大忙しだった。株価暴落と、その対策とのいたちごっこ、人民元切り下げ、天津大爆発事故、“抗戦勝利70周年記念” 行事の広報など、社会の安定と啓蒙に関するテーマが山盛りだったからだ。

中国のマスコミは天津事故の真相究明を巡って一部当局と衝突したが、それ以外は当局の意を汲んで社会不安の除去に努めた。
疑わしい経済指標(2015年第2四半期GDP前年比7.0%増)の発表にも忠実なフォロー記事を載せた。中国では、事実の裏付けのない仮想現実でも宣伝しているうちに現実となっていく。得意の手法である。そして使えるネタは何でも使った。外国勢も積極的に利用した。黒田日銀総裁やドイツ有力紙の、「中国経済は安定的成長が見込める」といった発信には喜んで飛びついた。

一方、株式市場の暴落は外国勢による売りが原因だ、などの風説流布にも尽力した。小売り総額などプラス圏にある経済指標だけをならび立てることを行い、当局による不正市場参加者の摘発もさかんに強調した。また、政策そのものの解説も熱心に行った。


「対症療法」しかない政府

直近の株価対策についての報道では、9月1日の政府四部委合同による、株式市場救済アピールを取り上げている。四部委とは、証券監督管理委員会、財政部、国有資産監督管理委員会、銀行業監督管理委員会のことを指す。

内容は、①上場企業同士の株式持合いの推進②上場企業の配当の積極奨励と、その現金化推進③上場企業による自社株買い戻しを支持、の3つである。それぞれに詳細なデータと解説付きだが、とても難しく、一般の個人投資家にはその是非など判断できない。実際、この内容が発表された日も株式市場は1%超えの下落だった。

問題はもはや政策の中身ではなくなってきた。政府に株式市場安定の意志があるかどうか、投資家がそれを体感できるかどうか、にかかってきたのだ。このままでは半永久的に対症療法を打ち続けるしかなくなってしまう。根本的治療には市場を欧米並みにオープンするしかないが、それは社会主義市場経済という現体制そのものの存立に関わってくる。当局の関与こそが体制の要であるからだ。

今、彼らは政策が空回りを繰り返し、経済が管理不能となる恐怖と闘いながら、次の知恵を絞っているだろう。


天津の爆発事故が与えた影響

天津の爆発事故も大きな影響を与えた。安全管理コストを無視した上での経済成長であったことを全世界に向け露呈してしまった。こうしたお寒い現場の実態にも、これまでは高度成長の果実によってかなりの程度看過されてきた疑惑の統計数値にも、これからは鵜の目鷹の目で世界中からチェックが入る。

社会科学院某評論員のように、「世界があわてふためいているのは、それだけ中国の地位が上がった証左だ」、などと胸を張っている場合ではない。


9月は小康状態か。焦点は「五中全会」へ

9月3日、政府を挙げて力を注いできた“抗戦勝利70周年記念”式典は、つつがなく終了した。心配された問題は何も発生せず、秋晴れの下、よい絵柄を世界に発信できた。国民の反応も上々で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、愛国の投稿で埋め尽くされた。

このあとすぐに経済の現実に立ち戻らなければならないはずなのだが、9月27日の中秋節、来月10月1日からの国慶節7連休と休日が続くため、国民はすぐ行楽モードに入ってしまう。したがって9月いっぱいはこれまでの対策小出しパターンを続け小康状態を得ようとするだろう。

今後の焦点は、10月中に開催される次期5カ年計画を討議する、共産党の「五中全会」となる。ここで、仮想現実ではない、本物の現実に立った計画策定がなされるかどうか。ありていに言えば、体面を捨て、これまでの目標(GDP7%成長、貿易6%アップなど)を下方修正する勇気があるかどうか、にかかっている。もし改革が進まずバラ色の見通しのみ発表されるようなら、そのとき世界は灰色に染まってしまうことになりそうだ。(ZUU online 編集部)

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