中国で初めて外国人投資家に開放される原油先物取引市場が、早ければ来月にも始まる。北海ブレントや米国のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)とは異なり、米ドルではなく中国人民元建ての価格となる。英『テレグラフ』紙電子版は4日、中国のこの新しい原油先物取引が、既存の世界指標の立場を脅かすのではないかと論じている。

ブレント原油先物は、投資家や原油企業のために市場安定化を目的として1988年に導入された。現在でも世界の約3分の2の原油の国際価格指標として使用されている。だが、中国はいまや米国に続く世界第二位の原油消費国家だ。原油先物取引市場が外国人投資家に開放されることで、中国の影響力が拡大すると思われる。

これまで中国は外国人による投機資金の流入を防ぐため、商品先物取引を原則禁じてきた。だが、中国政府はすでに移行の土台を作っている。昨年、中国国内の民間企業に初めて石油輸入の許可を与え、市場の部分的な自由化を実現した。国営石油会社が現地市場でけん引するには、人民元ベースの原油取引の基礎を築かなければならないため、原油の精製販売を行う下流部門が対外開放されたことで国営企業にも圧力がかかっている。

『テレグラフ』紙によると一方でこの動きは、「原油取引の要としての役割を担うブレントにも課題をもたらしている」とのことだ。欧州諸国は実経済において原油依存を低下させる政策を推進しており、それに伴い、先物に影響する現物市場の存在感は徐々に薄れていくと考えられるためだ。現時点で原油取引におけるブレント指標やドルの役割の終わりを予測してしまうのは時期尚早だが、中国の新しい原油取引は、欧米からアジアへの大幅な移行を示唆していると言えよう。(ZUU online 編集部)

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