おわりに

政策保有株式の削減に伴い企業の行動がどのように変化するのか予想することを目的として、持合比率による企業の行動の差を確認した。持合比率による本業(ビジネスの選択やの利益率)への影響は確認できなかったが、資金調達、利益還元や情報開示に対する姿勢などは持ち合い比率の影響を受けていそうだ。

株主との関係はや、業種による差も考慮した分析、より多期間のデータを用いた検証するなどは今後の課題とする。また弊社では、持合比率に加えメインバンクをはじめとする金融機関など安定保有比率の算出も行っている。安定保有比率を用いた分析も併せて今後の検討課題とする。

(*1)優れた投資機会を有する企業においては、利益の還元(内部資本を減らす)ではなく、内部資本を新規投資に利用するほうが企業価値を高める。そして、企業価値の向上の恩恵は株主が享受する。つまり、利益還元方法の選択の以前に、利益還元を行うべきか否かが問題となる。当分析においては、持合比率が相対的に高い企業とそれ以外の企業で、優れた投資機会を有している企業の割合に差は無いことを前提としている。
(*2)分析時(2015 年 8 月上旬)における Yahoo!ファイナンス情報を利用
(*3)コーポレートガバナンス評価システム(NEEDS-Cges)の評点データを利用

高岡 和佳子
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員

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