おなじみ吉野家もマレーシアに再進出
吉野家ホールディングス <9861> も今年5月、マレーシアに出店した。牛丼、うどんを提供する「はなまるうどん・吉野家」の新型店で3年以内に20店舗の出店を目指すという。牛丼とうどんを提供する新型店での進出だ。
吉野家の海外展開は、東南アジア域内ではインドネシア36店舗、シンガポール17店舗、タイ17店舗、フィリピン7店舗、カンボジア4店舗を出店している(2015年3月末現在)。マレーシアには10年前に一度進出をしたが2009年に撤退している。
今回の再進出は人口12億人とも言われるイスラム圏への参入を見据えたものだ。マレーシアの人口は2855万人で、ムスリムは1700万人超。ちなみにインドネシアの人口は2億3764万人でムスリムは2億人超だ。
同社はマレーシア再進出をきっかけとして、マレーシア政府公認のハラール認証取得を目指している。これはイスラム法において合法であることを意味するもので、ムスリム向けの食品を扱う事業者にとって必須となりつつある。
しかし製品ごとに取得が必要であることや、原材料だけではなくて加工の段階でも厳格な基準が適用されるためにハードルが高い。同社広報は「取得後は国内でもノウハウを活かしていける」と前向きだ。
「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」も積極展開
また、コロワイド <7616> のグループ会社である、レインズインターナショナルが展開する焼肉専門店「牛角」では今年8月、台湾の高雄市と台中市に、それぞれ新店舗を出店した。
台湾では、同じく展開する「しゃぶしゃぶ温野菜」と合わせて、2019年度までに60店舗の出店を目指すとしている。鍋を囲んで、野菜中心の健康的な食事を楽しむ「しゃぶしゃぶ温野菜」は台湾での人気が高く、同社は出店を拡大するようだ。
「ASEANは親日の方も多く、焼肉、しゃぶしゃぶは国内へのインバウンド客と同様に人気が高く、親和性は非常に高いと思います。この2ブランドは日本では知名度が高く、フランチャイズ展開のノウハウがあります。日本代表料理の一つである焼肉、しゃぶしゃぶは、海外に向けての日本文化として解りやすい」
国内の外食市場の伸び悩みもあり、経済成長が著しい東南アジア域内の、特に中間層の旺盛な消費意欲に期待が高まっているようだ。日本食というと寿司やすき焼きなど、現地の感覚では高額メニューの印象が強かった地域でも、日本で普段食べられているセルフサービスのうどんや牛丼といった大衆的なメニューも広く知られるようになった。廉価で美味しい、日本の外食チェーンはアジア各国での人気が高まることだろう。 (ZUU online 編集部)