2015年11月4日、日本郵政 <6178> 、ゆうちょ銀行 <7182> 、かんぽ生命保険 <7181> の郵政グループ3社の株式が東京証券取引所に同時上場される。
売り出し規模は3社合計で約1兆3800億円。日本郵政は想定価格1350円で4億9500万株を、ゆうちょ銀は1400円で約4億1244万株を、かんぽ生命は2150円で6600万株を売り出す。今世紀最大のIPOとも言われるこの上場は異例ずくめだ。その内容を詳しく見ていこう。
「夢よもう一度」
このIPOが大きな注目を集めている大きな理由の一つには、政府保有株の放出は非常に高い勝率で利益を得られるという経験則を多くの投資家が共有しているからと言えるだろう。
例えば、NTT <9432> の場合、政府保有の185万株が第一次売出として119万7000円で投資家に売却されたが、上場日の1987年2月9日は売買が成立せず、翌2月10日に160万円の初値が付いた。その後、NTT株は87年4月22日には318万円の高値を付け、バブル経済の象徴となった。
JR各社やJT <2914> 、NTTドコモ <9437> 、J-POWER <9513> など過去7件の政府保有株の放出を振り返ると、初値が公開価格を下回ったのはJTのみであり、6勝1敗の勝率だ。「夢よもう一度」と考える個人投資家が郵政グループの上場を盛り上げているのは確かだ。
なぜ異例のIPOと言われるのか?
久々の政府保有株の放出とあってその盛り上がりはなかなかのものだ。上場にあたり大きな役割を果たすのが主幹事証券会社であるが、主幹事に選ばれるのは通常1、2社であり、過去の政府保有株の放出で最大のものでもJTの4社にとどまっている。
しかし、今回の主幹事証券は国内大手5社、中堅2社、外資系4社の合計11社をはじめとする証券90社が販売を支援する異例のスケールとなっている。政府の力の入れようが見て取れ、証券会社の事前PRもこれまでに無く熱心だ。