世界各都市が抱えているリスク要因を把握しておくことは、投資家にとって非常に重要だ。

「経済リスクを抱える都市ランキング」が発表され、東京がなんとワースト2位。このほかアジア3大都市が上位にランクインしており、納得はできる一方、あらためて突きつけられるとショックではある。

このランキングは、英国ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクール内のリスク研究センターの協力のもと、英ロイズ銀行が今後10年間の都市リスク指標レポートとして発表したものである。世界200以上の都市を対象に、18項目のリスク要素(人的あるいは自然災害、経済および政治の安定性、気候、テロなど)にもとづいて、各都市の安定性を総合的に評価している。

ワースト10の結果を見ていこう。

10 位 香港(中国)

エボラ熱、SARS患者が出た香港は、流行病がリスク要因の首位に。次に高かったのが自然災害リスク。また9位に入った上海同様、最近の中国市場が大混乱に陥ったため、株価暴落リスクもあると判断された。

平均年間GDP6270億、総GDPリスク750億ドル。

9 位 上海 ( 中国)

欧米でワースト1となったのはニューヨーク。アジア圏との大きな違いは、経済懸念が最大のリスク要因として挙げられている点だ。経済は回復基調にあるが、ゼロ金利政策の解除など先行きの不透明要素も少なくない。

挙げられたリスクは株の暴落を筆頭に、石油ショック、サイバーテロ、洪水、流行病と続く。また9.11同時多発テロ事件の記憶が生々しいせいか、テロへの懸念も高い。平均年間GDP1兆ドル、総GDPリスク900億ドル。

4 位 マニラ(フィリピン)

記録をさかのぼれば、弘仁9年(西暦818年)の関東土砂崩れから始まり、1923年の関東大震災などこれまで数え切れない程の災害に見舞われてきた東京だが、意外にもGDPの最脅威は暴風による被害との評価であり、次いで株の暴落、石油ショックと続き、地震は4番目。

経済面では大企業を中心に回復傾向にあり、2006年度以来の増加率を示しているが、円高方向への急激な変化を警戒する他国の姿勢が見える。

平均年間GDPは1兆4700億ドル、総GDPリスクは1530億ドル。

1位 台北(台湾)

民間投資や消費の増加で、国全体の経済成長率は上昇しているにも関わらず、世界リスク都市ワースト1位に選ばれた台北。1997年の治安問題から始まり、大地震、大浸水、SARSの流行など、立て続けに自然災害の被害にあっているのが最大の原因だろう。

昨年社会現象にまで発展した”素人市長”(柯文哲台北市長)の当選が、政治リスクと見なされた可能性も考えられる。大都市の中でも治安が非常に良いといわれ、台湾きっての観光都市でもあるが、平均年間GDPは4兆ドル、総GDPリスクは1810億ドルという分析結果だ。

リスク要素は高いものから暴風、地震、株の暴落、洪水、石油ショックだった。


10位以下の順位は以下の通り。

11位 リマ(ペルー)
12位 テヘラン(イラン)
13位 サンパウロ(ブラジル)
14位 メキシコシティ(メキシコ)
15位 モスクワ(ロシア)
16位 パリ(フランス)
17位 ロンドン (イングランド)
18位 シンガポール(シンガポール)
19位 ブエノスアイレス(アルゼンチン)
20位 ジャカルタ(インドネシア)

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