ウィンターコーンCEO
(写真=HPより)

排気ガス規制違反で世間を騒がせている独フォルクスワーゲン(VW)のマーティン・ウィンターコーンCEOが23日、辞任の意思を表明した。世界各国に販売した1100万台の車の排気ガス検査に、違法なソフトウェアを用いてクリアした事実を認め、「ただひたすら謝罪するしかありません」というコメントを出し、緊急重役会議を招集するなど事態の収拾に全力をあげていた。


「わが社は完全にメチャクチャです」

米司法省はVWに米国内の50万台の製品回収を命じているが、今回の事件を米大気浄化法への違反と見なし、刑事訴追処分に踏み切る可能性を示唆している。

VWはアウディA3、ジェッタ、ゴルフ、ビートル、パサートなどを含むディーゼル車の米国販売を停止。しかし2008年以降既に販売された台数(48万2000台)に基づいて算出すると、1台あたり3万7500ドルの制裁金が課されると想定した場合、損害賠償総額180億ドルということになる。

「わが社は完全にメチャクチャです」という米VWマイケル・ホーンCEOのコメント通り、フランクフルト証券取引所は大荒れ。VW 株は21日に19%減、翌日は17%減となっており、わずか2日間で株価が3分の1急落する事態に陥っている。しかし3日目には4%増と回復の兆しを見せてはいる。


「事件の全貌を明るみにする事だけが信用を取り戻す唯一の手段」

世界屈指の自動車産業国であるドイツでは、国民の中でも「環境と車」への意識が非常に高い。自国が誇る一流メーカーの大スキャンダルに、業界者は勿論、一般市民もショックを露にしている。

また今回の事件が世間に投げかけた波紋は、ほかの大手独自動車メーカーにも飛び火する事が予測され、自動車産業が経済の重要な割合を占める国にとっては、単なる1企業のスキャンダルという枠組みをこえ、国家の一大問題に発展する可能性が非常に高い。

某独新聞紙は「自動車産業史上、最も高い代償を支払う羽目になった最も愚かなスキャンダル」と形容している。ウィンターコーンCEOは「不正行為については関知していなかった」と前置きした上で、以下のコメントを発表した。

「私の辞任によって我が社が新しいスタートを切れるように願っています。事件の全貌を明るみにする事だけが、世間の信用を取り戻す唯一の手段でしょう。我が社が今回の危機を乗り越え、復興を果たすと信じております」


英自動車産業団体「EUの排ガステストは規制違反ではない」

欧州ではこれを機に、排気ガス規制のレベルを強化する動きが出ている。しかし英自動車産業団体SMMTのマイク・ホウズCEOは「EUの排気ガス検出テストは、政府認定の独立機関立会いのもと、米とはまったく異なるシステムで行われている」ことを理由に規制違反の可能性を否定している。

「欧州では生産ラインからランダムに製品をピックアップして検査を行います。検査の対象となる車は、英運輸省と提携している譲完証発行機関から標準的な量産モデルとして認定を受けている必要があります」

その一方で、ホウズCEOは現在の排気ガス検査を最新化する必要性を指摘している。短期間では解決される見込みがないほど、泥沼化している「排気ガススキャンダル」。今後新たな事実が続々と明るみに出そうだ。 (ZUU online 編集部)

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