豪国税庁から情報を入手

日本ではタックス・ヘイブン子会社の留保所得(配当せずに蓄積した内部留保)に対する課税制度はあるが、完全にタックス・ヘイブンの活用を抑止できるものではない。

近年は国税庁も対策に注力している。2013年5月にはオーストラリア国税庁から、タックス・ヘイブンに所在する事業体(法人・信託等)に関する情報のうち、日本の納税者関連と見込まれるものを入手したことを公表した。

タックス・ヘイブンに限定した対応ではないが、2015年7月1日以後に国外転出する居住者が1億円以上の有価証券などを所有等している場合、その含み益に所得税が課税されることになった。属地主義による課税制度の抜け道をふさぐという意味では、タックス・ヘイブン対策に通じるものであり、今後も情報収集の強化とともに制度改正を進めていくと思われる。

マイナンバー制度との関係

国際協力体制も強化されている。2013年5月にモスクワで開催されたOECD税務長官会議では▽米・英・豪3カ国の税務当局がタックス・ヘイブンに所在する事業体情報を大量に入手しており、関係国に提供すること▽各国は団結して国際的な脱税及び濫用的租税回避に対抗し、脱税者及び協力者に強い姿勢で臨むことを決定した。

2015年1月には、40以上の国・地域が連携して富裕層の預金口座情報などを共有する動きがあると報道された。国税庁は、G20とOECD加盟国に加え、英領バージン諸島、ケイマン諸島、バミューダ、英領マン島などのタックス・ヘイブンを加えた国・地域の税務当局と連携して、2017年末時点で居住者が海外に持つ預金、証券、保険口座等の名義、住所、残高、利子・配当の年間受け取り額などの情報を2018年9月までに集約する体制を構築し、翌年以降も同様の情報収集を継続する意向のようだ。

国際協調体制の強化は、来年1月から利用が始まるマイナンバー制度にも関係している。金融機関へのマイナンバー情報の提供を現行法の任意から強制へ変更し、納税者番号と口座番号の一元管理を図るものと思われる。その際、納税者番号と紐づかない預金口座等は、不正防止のため凍結される可能性が高いだろう。 (ZUU online 編集部)