Siladen turquoise tropical paradise island
(写真=PIXTA)

先進国の間で近年、タックス・ヘイブン(租税回避地)を活用した節税を規制する動きが強まっている。多国籍企業や富裕層がタックス・ヘイブンへ移転した資産は全世界の資産の10~25%に上るとも言われ、多くの先進国がかなりの税収を失っていることに危機感を抱いているためだ。日本で導入が予定されるマイナンバー制度を含め、国際的な情報連絡体制の強化や税制改正など、課税ベースの浸食と利益移転を防止する動きを解説しよう。

Amazon、Googleも実施。その実態は

そもそもタックス・ヘイブンはどのように行われているのだろう。経済協力開発機構(OECD) は2013年2月12日、“Addressing Base Erosion and Profit Shifting”(税源侵食と利益移転への対応)を公表し、税源侵食と利益移転にかかわる問題提起を行った。

タックス・ヘイブンを活用した節税はAmazon(アマゾン)、 Google(グーグル)、 Starbucks(スターバックス)など世界的に有名な大企業でも当然のこととして行われている。OECDの報告書は、税源侵食と利益移転の多くは、軽課税国への無形資産の移転、ハイブリッド・ミスマッ チ(複数国間の税制ミスマッチ)の利用等を組み合わせ、税率の低い国・地域に利益を移転することにより行われていると分析した上で、多くの手法は合法的であり、国際課税原則を見直す必要性があると述べている。

OECDがタックス・ヘイブン対策を本格化

さらにOECDは13年7月19日、「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」を公表した。計画の実施に当たり、OECD非加盟のG20メンバー8カ国がOECD加盟国と同様に意見を述べ、意思決定に参加し得る枠組みとして「OECD/G20 BEPSプロジェクト」が設けられた。

OECDは、2014年9月から2015年12月までにBEPSに対処するための対応策を3段階で勧告するとしており、2014年9月 16日には、第一弾の報告書が公表された。