中国
(写真=PIXTA)

世界の工場からマーケットへと変ぼうを遂げ、巨大市場と化した中国が揺れている。昨今の相場の乱高下、強行外交路線、富の二極化。そして株式市場と並んでバブル崩壊が危惧される不動産市場。この不動産市場にバブル崩壊はあるのだろうか。


上海指数と不動産価格の奇妙な関係

よく証券会社では「(日頃投資をしない)主婦が店頭に現れたら相場は終わりだ」と言うが、まさにいま中国の富裕層は、誰しもが何らかの投資をしていると言っても過言ではない。ローソク足の見方さえ知らないまま株式投資をしている人も多い。そして不動産投資も活発である。

中国ならではの株価と不動産価格の相関関係に触れておきたい。

上海証券指数と不動産価格には奇妙な関係がある。株価が上昇すれば不動産価格が下がる、逆に不動産価格が上昇すれば株価が下がる。中国政府が2013年、上昇を続ける不動産価格を抑えるため、2軒目の物件購入の頭金比率や貸出金利を上昇させたことから、その資金を投資家達が株式にシフトしたことに端を発する。

しかし上がり続ける株価はいつ下落に転じてもおかしくないと言われ続けた。中国の経済成長率が7%代に下落、上海証券指数が2015年6月に最高値を付けてから3週間で3割、約300兆円相当が泡と消えた。その後中国の株価下落が起こったことで、世界三大危機(中国のバブル崩壊、ギリシャ経済危機、アメリカの利上げ)、の中で最も危惧されていた中国バブル崩壊がはじまったと騒がれた。それが世界同時株安の一因を担い、日本の株価も大きく株価を下げたのは記憶に新しい。


不動産も国家が介入 そもそも土地の所有者は国家

ところで果たして当の中国のバブルは本当に崩壊したのだろうか。
実は上海株価指数が下落に転じる前の2015年5月に、不動産価格は上昇に転じている。やはり株に投入していた資金が不動産にシフトしたのである。やはり株価が下がれば不動産価格は上がっている。このように、中国には金融危機の連鎖が無いのである。これは中国経済の特徴の一つであると言っていいだろう。

このような状況が起こるのには理由がある。中国は共産主義国。経済もまた然り、市場をコントロールするために株価に国家がストップ安や売買禁止銘柄を設定することがある。国家による市場介入というあるまじき行為が行われているのである。

不動産についても同様だ。それは地方政府による土地の囲い込みである。中国では中国全土における土地の所有権は国家にある。土地の大小に関わらず人や会社には借地権があるのみで、所有権はない。よって地方政府が立退きをさせる場合は土地代を含まない立退き費用のみを支払い、売るときは土地代を含んで売却する。このため転売するだけで、例えば上海市の再開発の場合、5倍もの利益を得ることもある。立ち退かされた一般庶民は微々たる立退き費用を手に入れるだけで、決して同条件の新しい物件を買うことはできない。


中国では0.4%の国民が富の7割を占める

このようなやり方を中国の一般庶民も黙ってはいない。国民と政府・警官との衝突がたびたび発生している。そのため、懐柔策として立ち退き費用の代わりに郊外にマンションを提供するような例もある。

土地の囲い込みにより得た莫大な利益で中国では0.4%の国民が中国の7割の富を握っている。その0.4%の国民の9割近くは政府高官、もしくはその子女だ。

国家体制が不動産市場を下支えする特殊な構造によって、中国はバブル崩壊を免れている。このいびつな体制の支えられている経済には、不自然さがぬぐい切れない。中国バブルの崩壊は国家情勢と直結している。中国の実体経済や政策を含め、引き続き巨大国家中国の全体を注視していかなければならない。 (ZUU online 編集部)

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