資産運用
(写真=PIXTA)

数年後に退職を控え、老後の生活をどのようにすべきか。楽しみにされている方も多いことでしょう。

その一方で、退職後の老後資金がどのくらいあればよいのか、心配な方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方向けに、リタイアメントプランの描き方とそれに対応する資産運用の考え方について解説したいと思います。


老後資金として最低1500万円、できれば5000万円準備を

総務省の「家計調査年報(家計収支編)平成26年」によると、高齢無職世帯における家計収支(月額)は、実収入17万0638円に対し、支出額が23万0248円となっています。実収入のメインは公的年金による社会保障給付になります。実収入と支出額の差額を考えると、マイナス5万9610円となり、毎月およそ6万円程度の資金が不足することになります。

これを現役時代に蓄えた貯金や退職時の退職金をもとにまかなっていることが想像できます。

ここからいえることは、老後資金をいったいどのくらい退職前に貯めておく必要があるのかということです。

仮に退職時の年齢が65歳で、毎月の収支が6万円不足、女性の平均寿命をもとに夫婦いずれも87歳まで生存するとすれば、6万円×12ヵ月×22年=1,584万円合計で不足することがわかります。つまり、最低でも1500万円程度は老後資金として準備が必要ということになります。

なお、これはあくまでも平均的な生活をした場合です。毎年旅行したりと豊かな生活を送りたい場合はさらに準備をしなければなりません。

多くの調査において、豊かな老後生活を送りたいと考える場合に必要な資金は月額38万円程度となっています。総務省の家計調査と実収入が同じであれば、毎月の不足額はおよそ21万円。

この場合、夫婦が87歳まで生存したとすると、21万円×12ヵ月×22年=5,544万円不足することになります。

この金額からもわかるように、一般的に、退職金だけでは豊かな老後資金をまかなうことは難しいといえます。退職金が2000万円あったとしても、3,500万円ほどは別に用意しなければなりません。

しかも、この不足額はあくまでも現時点の高齢無職者世帯の生活をもとにシミュレーションしたものであり、実際に老後を迎える時は人によって少し状況が異なっている可能性があります。つまり、公的年金の年金額の抑制なども考慮する必要があるのです。

こう考えると、退職金だけでの生活は難しい可能性があり、退職前から何か対策を打っておかなければならないといえます。


目先の資金は現預金、長期の資金は資産運用で

それではこの不足する老後資金。どのように対策を打つべきでしょうか。

まだまだ老後まで時間に余裕があるという方であれば、計画的な貯蓄をおススメします。

一方で、毎月計画的に貯蓄したとしても豊かな老後を送るだけの資金設計が難しいと判断できるケースも多いことでしょう。この場合には、退職前から貯蓄額のいくらかを、資産運用で増やすことも検討していくべきです。

仮に毎月5万円、年利3%で20年間運用したとしましょう。貯蓄であればほとんど利息がつかないことを考えると、積み立てた貯蓄額1200万円にプラスαの利息と捉えることができますが、運用を行い上記成果を出した場合には、1612万円ほどになります。およそ400万円ほど差がつくのです。

これはあくまでも例ですが、貯蓄よりも400万円も増やすことができれば、老後資金の足しとしては大きいといえますよね。

もちろん、すべてを資産運用にまわすのではなく、目先に必要な資金は現預金で、長期的に老後資金の確保を目指すための資金は資産運用で、と分けることが重要です。つまり、お金の色付けをしておくことが必要なのです。(提供: ファイナンシャルスタンダード株式会社

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