金融審議会に2つのWGを設置

現在、金融庁では金融審議会の下部検討機関として3つのワーキング・グループを設置している。このうち1つは、投資運用等に関するものでFinTechを意識したものではないが、他の2つは決済業務の高度化、金融グループを巡る制度のあり方に関するもので、FinTechを検討対象としている。

決済業務の高度化WGでは、ノンバンク・プレーヤーの機能や役割について、(1)リテール(BtoC)、(2)ホールセール(BtoB)、(3)決済インフラ、(4)その他(仮想通貨など)の4点から検討を進めている。

このうち、(4)はビットコインなど中央銀行以外の発行主体の通貨に関する検討であり、広く議論をするにとどまるものと想定される。足元の規制改革の対象となり得るテーマは(1)~(3)だが、ノンバンク・プレーヤーと為替業務を独占的に取り扱う銀行との業務範囲の線引き(あるいは新規参入)で最も利害が対立するのは、(1)のリテール(BtoC)だろう。

金融庁の事務局説明資料には、現状及び問題意識として、決済システムの安定性、イノベーションの促進と利用者保護の確保、情報セキュリティが掲げられている。こうしたコスト負担を伴う事項への要求水準が高くなれば、相対的に体力が劣るノンバンク・プレーヤーの活動範囲は狭められるため、この辺りの綱引きが今後活発化するだろう。

一方、金融グループを巡る制度のあり方WGは、金融機関グループの業務範囲規制を検討しているが、主要テーマの1つとして、電子商取引ビジネスへの出資、金融関連ITベンチャー企業への出資などFinTech企業を子会社・関連会社とすることの適否が掲げられている。銀行を中心とする金融機関グループは、決済ビジネスへの新規参入の容認と自らの業務範囲規制の緩和をセットで求めると考えられる。