ここ10年で金価格が4倍に高騰

しかし金価格は、ここ10年で高騰してきた。2004年に1グラムあたり1472円(年平均)だったものが、昨年の2014年には4340円と金の価格が4倍も上昇してきたため、金の売却によって多額の利益を得る人が出てきた。本来であれば、金の売却により50万円以上の利益が出た場合には、確定申告が必要になるのだが、多額の利益を得ておきながら、確定申告をしない人が相次いだことから、税の不公平感が高まっていた。

そこで、所得税法を改正して、売却額が1日に200万円を超える場合には、販売会社から税務署に取引内容を報告させることにしたのである。

こうした動きを受けて、販売店側は、顧客から1キロの金の延べ板を預かって溶かし、100グラムの延べ板10枚に小分けして手数料を得るビジネスを提供するようになった。つまり、1gあたり4000円を超えると、500gで200万円を超えてしまうので、1回の売却額が40万円程度で済む100g単位にし、売却益を非課税枠に収めやすくなるというわけだ。

また、売却益の非課税以外の目的を持つ人もいるようだ。金を小分けにし、子や配偶者に資産を渡す際にかかる相続税や贈与税を節税するというもの。小分けした金のバーを、1人につき年間1~2本ずつ渡していけば、税金がかからずに資産の譲渡ができ、小分け手数料以上の節税効果があるというわけだ。

100g以下の金取引が絶対安全ではない?

もっとも、100g単位で金の取引をしていれば、税務署に絶対捕捉されないのかといえば、そんなことはない。販売業者に税務署の調査が入れば、小口での金の売買を繰り返している人は把握されてしまうからだ。さらに、将来的に、マイナンバー制度の導入により、金投資も紐づけられるようになれば、逃れることはできなくなるだろう。

また、課税の「95%ルール」に注意したい。購入にあたっては、購入した事実を証明する書類をきちっと保管しておくことが大事である。というのも、譲渡所得の計算は、売却代金から取得価格と売却費用を控除することができるのだが、購入価格を証明できないと、売却価格の95%が利益とみなされてしまうからだ 。つまり、金を100万円で売却した場合、95万円が利益とみなされてしまう。

金投資5つのポイント

以上を踏まえ、金投資を行う際のポイントをまとめると、①支払調書の対象にならないよう細分化して購入することは有効であるが、細分化したことによって、手数料が発生しないか確認すること、②金購入を証明する書類を保存しておくこと、③譲渡所得の構造から、年間利益を50万円未満にできないか検討すること、④所有期間が5年を経過すると税金が安くなるので、5年以上経過しているか確認すること、⑤総合課税なので、できるだけ税率が低い年度に売却すること、などが挙げられる。

金の魅力は何といっても普遍性にある。株や債券は会社の倒産によって紙切れになってしまうし、現金もインフレにより価値がなくなってしまうことがある。それに対して、金は価値の変動はあるものの、現物で持っている限り、一定の資産価値を持ち続ける。さらに、その美しさから、所有している喜びもある。その意味で、ポートフォリオの1つとして組み込むにはとてもよい資産だと言える。 (ZUU online 編集部)

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