日本は自動車を保有すると、税負担が重い国である。日本自動車工業会の調べによれば車体課税は概算で、イギリスの2.4倍、ドイツの3倍、フランスの16倍、アメリカの49倍の税負担となっている。
総額の多さだけではなく、日本は税の種類が複雑であり、二重課税されているものもある。取得・保有時には、自動車取得税、車両の消費税、自動車重量税、自動車税、走行時には揮発油税、地方揮発油税、ガソリンの消費税がかかる。そして二重課税とは、購入時の「自動車取得税と消費税」、保有時の「自動車重量税と自動車税・軽自動車税」である。その他、有料道路の料金や自賠責保険なども負担させられている。詳らかにすればするほどクルマを持つのをやめようかと思ってしまう。また、ガソリン税には消費税がかけられ、税に税がかけられるタックス・オン・タックスとなっているのである。
これで自動車産業が活性化するのか?
こんな重い税負担を強いられている日本のドライバーたちに、さらに重たい負担が課されている。それが、「自動車税のグリーン化特例」だ。ハイブリッド車や電気自動車を新規購入した場合は、50~75%の軽減税率となっているが、ガソリン車で13年、ディーゼル車で11年を超える車両は、おおむね15%重課となる。スカイラインGTR、AE86、シルビア、RX-7など、名車と言われるクルマは全て対象となってしまう。さらに軽自動車に至っては、13年を超える車両におおむね20%重課となる。旧ジムニーやビートなど絶版車両を大切に乗り続けている人には痛い出費だ。
なぜ、こんなに旧車に厳しく当たるのだろうか。それは、政府が古いクルマを潰して、新しい車に買い換えてほしいと願っているからだ。「スクラップ・インセンティブ」をつけるので、環境に良い新車を買え、ということである。それによって自動車産業も活性化するということだ。だが、これは正しい理論なのだろうか。
廃棄処分が本当に環境に優しいのか?
大前提として、まだ乗ることができる自動車を廃棄処分にすることが本当に環境に優しいのかという疑問が常につきまとう。このスクラップ・インセンティブのおかげで、中古車の台数が減り、旧車の価格が上昇したという側面もあった。それは旧車の業者にとっては喜ばしいことだったのかもしれないが、旧車ファンにとってはハードルが上がることになり、乗れない人を産んでしまう。
13年以上保有のガソリン車を一律15%上げるというのも、いささか乱暴なのではないだろうか。環境に悪いという理屈で旧車を締めあげたいのだろうが、年に3000km以下しか走らない車と30000km走る車とを同列に語るのは大雑把すぎるだろう。