ヤフーには物件情報を無料提供していた
レインズが宅建業者に与える影響は大きく、その情報を実質上、一手に握っているFRKは業界内で強力な力を持っている。
レインズには売り情報と成約情報の2つがあるが、今までヤフーには売り情報を“無料で”提供していたと報じられている。ヤフーは日本のポータルサイトの中では、絶大なる力を持っているため、FRK側としてもヤフーに情報を載せてもらうことで、多くの成約につなげることができメリットがあった。
そのため今後はヤフー不動産経由で仲介手数料を得ていた不動産会社の収入が減ることも予想され、FRKの一方的なやり方には業界内の反発も大きい。
発端はソニー不動産が業界のあり方を変えようとしたこと
問題の発端となったのはソニー不動産であり、今回のFRKの対応はソニー不動産の締め出しとも捉えることができる。
ソニー不動産は不動産仲介の“両手取引”という商習慣に風穴を開ける業界の風雲児だ。日本の不動産仲介業では売り手からも買い手からも双方から価格の3%の仲介手数料がもらえることになっている。これが両手取引だ。
よく考えると、仲介会社がもらえる仲介手数料は不動産価格が高いほうが報酬は高くなる仕組みだ。そのため両手仲介の取引があると、仲介会社としては売買価格を上げる方向にインセンティブが働き、買い手には不利となってしまうのだ。
これは仲介手数料が家賃の1カ月分が相場である賃貸の場合も同様で、両手仲介が入ると家賃が下がりにくくなる。このため日本の不動産会社は売り手や貸し手といったオーナー側につくことが基本となっており、買手や借手の味方が居ないことが常態化していた。